「料理が好きなのかもしれない」と思った日



私たち夫婦の日々の食事は、自炊が中心。料理は私の担当だ。デリバリーや外食に頼ることも多々あるが、夫と私の二人分をだいたい毎日、作っている。

一人暮らしの頃から自炊自体はしていたが、自分のためだけに作るのはどうも面倒くさい。料理と呼ぶのもおこがましいものばかりだった。

それなのに、夫との生活が始まって数年、私はすっかり料理をしている。相変わらず面倒に感じることもあるが、食べたい気分や合わせたいお酒を思い浮かべながら献立を考えるのは楽しいし、これはどうかな、と味つけを実験するのも好きだ。

家族だけでなく、友人を家に招いて料理を振る舞うことも好きになった。一人のときはしんどかったのに、なんだか不思議なものである。

飲食業一家に生まれ育って

料理の話をするときは、実家の話が欠かせない。

我が家は飲食業一家だ。祖父母は定食屋を営んでいて、両親はレストランを経営している。料理人である祖父と父は、仕事以外でも家族のためによく料理を作ってくれて、私はどちらも大好きだった。

そんな家で生まれたからか、私は見事な食好きになったわけだが、ずっと「食べる専門」の人間なのだと思っていた。作る側の人のことを「すごい」と思っても、自分でやろうとはあまり思っていなかったのだ。

しかしいざ、料理をする必要性が出てきたとき、私は初めて「料理も悪くないなあ」と思った。美味しく仕上がったら嬉しいし、失敗しても改善するのが楽しい。夫や友人が美味しそうに食べてくれるので、それも理由の一つかもしれない。

また、料理は文字通り、私のさじ加減一つで出来上がる。好きなように作り、好きなように盛りつけ、好きなように提供できる。これは文章を書いているときと同じような高揚感がある。

そしてそんなことをぼんやり考えていたら、突然腑に落ちた。どうやら私は思いのほか、料理が好きなようなのだ。父や、祖父のように。

これからも私は、家族や友人のために、料理を作るだろう。そしてそのことは私の人生を、より豊かにしてくれるのだろう。今さらになって、見事に祖父や父に似たなあと、なんだか笑ってしまう。