料理道具を主役に献立を考える。 『台所にこの道具』から学ぶ、揃え方、楽しみ方、遊び方



料理道具を見ると、なんだかワクワクしてくる。キッチングッズ売り場で、あれもこれもと手に取りながら、その道具でつくる料理について考えるのは楽しい。

ただ、道具は無限にあるから、なかなかお気に入りのものを見つけるのは難しい。だから今日は、宮本しばにさんの『台所にこの道具』で、料理道具の揃え方や楽しみ方、そして遊び方を学びたい。

料理道具を中心に考えると、料理の幅が広がる

料理道具はそもそも何のためにあるのかといえば、やはり、料理をするためだろう。しかし、本書ではそれだけでなく、道具を中心に置いて考えてみようと提案している。すると、今までは料理を中心に「あれをつくるならこの道具かな」と考えていたが、道具ありきで料理を考えるのは結構楽しいことに気づく。

台所道具は、単に料理をするためのモノだと思っていませんか?
道具とじっくり付き合ってみると、そうではないことに気がつきます。
レシピのために使っていた道具を台所仕事の中心に置くと、道具があってこその料理を考えるようになります。
そのうちに台所は遊び場のような愉しい場所になり、料理の幅も広がっていくのです。

宮本しばに『台所にこの道具』はじめに
Solomon RodgersによるPixabayからの画像

たとえば、本書に掲載されている道具の一つの「焼き網」。ふだんの生活ではキッチンに魚焼き用のグリルがあるから、購入しようなんて考えたこともなかった。でも、焼き網をどう使おうかな?と考えてみると、シンプルに野菜を焼くのも良さそうだし、海苔を焼くだけでも香ばしさが加わって美味しそうだ。焼きおにぎりやパンをトーストするのも良い。

四季折々、焼き網で何でも焼きます。アスパラガスやブロッコリーなどアブラナ科の野菜、枝豆やインゲンなど豆科の野菜、きのこ。厚揚げや油揚げは大根おろしとしょうが醤油で。
パンを焼くときは外側はカリッと、中はふわっと仕上がります。

宮本しばに『台所にこの道具』焼き網

ほかにも、「焙烙(ほうらく・ほうろく)」は使ったことがなく、これがあったら料理の幅が広がりそうだと感じた。馴染みはなかったが、「古くから、豆、ごま、穀物、茶葉などを炒るために使われてきた道具」なのだという。煎るという行為自体は、焙烙が無くても成立する。でも焙烙を使うことを考えたら、もっといろんな料理が思い浮かぶ。

ちなみに、本書には掲載されている道具を活用したレシピが多数掲載されている。このレシピを見るだけでも、道具の使い方の多様性を知ることができる。

Bruno /GermanyによるPixabayからの画像

自分なりの道具を揃え、適切に使うことが大切

料理道具はそれぞれが、ほかには取って代われない重要な役割を担っている。著者の宮本さんは「それぞれが分相応の仕事を担っているプロ集団」だと記していた。このプロたちの中でも、自分が頼もしい、あるいは愛おしいと思えるものを揃えることが大切なのだという。

道具全般に言えることですが、道具にはそれぞれの特性や役割があります。それを超える仕事を無理やりやらせようとすると、本来の力が発揮できないばかりか、ひびが入ったり、さびたりと、道具の健康状態が悪くなります。
使う人がしっかりと道具の特性を理解し、丁寧に管理する必要があります。面倒がらないことが何より大切。道具にできることとできないこと、適正な火加減、正しい洗い方など、人間と同じでまず相手の性格を知ることが、料理をおいしく作る早道です。

宮本しばに『台所にこの道具』南部鉄フライパン

さらに、自分が気に入った道具は「とにかく離さず、使い尽くすこと。道具と両想いになること」が大事とのこと。たくさん使えばそれだけ愛着が沸き、使うことも楽しくなっていくだろう。世の中には簡単で便利な道具が溢れているけれど、その中から自分だけの大切な道具を見つけることは、心を豊かにしてくれるだろう。

Dean MoriartyによるPixabayからの画像

道具の銘柄を知れば、道具選びももっと楽しくなる

料理道具をいざ買おう、となっても、そんなに道具に詳しいわけではない。キッチングッズコーナーを見たり、合羽橋商店街などでずらっと並んでいるのを見に行ったりするのは楽しいが、道具の銘柄はよくわかっていない。でも知れば、もっと料理道具を使うのが楽しくなりそうだと、本書を読んで思った。本書に掲載されていた道具から、気になるものをいくつかメモしておこう。

土楽の土鍋

三重県伊賀市、伊賀焼「土楽」の土鍋。全体的に厚さが均一であるため、ムラなく火が通るのだという。また、火を入れるたびに強度が増し、使えば使うほど扱いやすくなっていくそうだ。片手土鍋も手軽で便利そう。

釜定の南部鉄フライパン

南部鉄器自体は知っているが、残念ながら手持ちの道具にはない。南部鉄のフライパンは鋳物であり、熱伝導に優れているため、外はカリッ、中はフワッのような料理が得意のよう。重さはあるけれど、ポテッとした見た目がかわいくて癒される。独自の熱処理技術でさびにくい仕様だそう。

山只華陶苑のおろし皿

おろしたものをそのまま提供できるおろし皿。陶器だからこそ、金属のおろし金に比べてマイルドなおろし具合になるという。一つ一つ手作業で作られているというのも趣深い。片口がついていて、料理におろしたものをかける際に使えるほか、大根おろしなどの余分な水分を外に出すのにも便利なようだ。

料理道具はずっと、料理を簡単にしてくれるものだと思っていた。実際いろんな道具に頼って、私は日々料理をしている。でも今回この本を読んで、料理道具を主役に考えてみたとき、たくさんの発見があって面白かった。これからは便利なだけじゃなく、より料理の幅を広げてくれる、頼れる道具も揃えていきたいと思う。



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