本は文学だけじゃない。ジャンルに優劣はないし、気になる本を読めばいい

昔、「古典文学が好き」と話したら「すごい本を読んでるんですね」と言われたことがある。そんな認識はなかったけれど、読む機会がなければそういう印象を持ってしまうのかもしれない。

ただ、個人的には、本のジャンルに優劣など存在しないと思う。すごい、とか、すごくない、とかでなく、皆が気兼ねなく好きな本を読んで、お互いに「それいいね」と言える世界になってほしいなあ……などと考えている。

そもそも、「読書」には多様性がある

本はどんな人にも関わってくる可能性があります。映画や音楽に比べて、娯楽だけでなく実用に使えるものがたくさん出ているのも特徴です。旅行ガイド、料理のレシピ、資格試験のテキスト。何か新しいことを始めようと思ったとき、まずは本屋に行ってみるという人も多いのではないでしょうか。

『本屋になりたい』宇田智子

趣味が読書です、という人は非常に多いだろう。私も趣味を聞かれたら「読書」と答える。しかし、読書好きと読書好きが出会ったとき、往々にして“好きなジャンルのズレ”が起こる。

たとえば小説が好きな人もいれば、ビジネス書が好きな人もいる。自己啓発本や実用書、新書を好む人だっている。あるいはエッセイ、あるいは専門書……読書のジャンルは無限に広がる。

さらに言えば、同じ「小説」というジャンルに限っても、細分化されている。現代を読むのか、古典を読むのか(古典もまた、西暦で言えば2000年もあるわけだから広がりが果てしない)、現代にしても海外か日本か、日本にしてもミステリーか恋愛小説、歴史小説……

細分化していくと、もう大変なことになってくる。ジャンルレスに読む人だとしても、「たまたま出会った読書好きである人と好きな本がかぶっている」という可能性はそこまで高くないはずだ。

ざっくり話すだけでも、「読書」の幅は広い、広すぎる。こんなに多様性のある分野なのに、優劣をつけるなんてもったいなさすぎる。

新しい世界を知れる楽しさが、読書の魅力

読書って賢そうというテンプレが散見されるが、酔うことがたいがい無駄であるように、本を読むことに意味づけはいらない。ただそこには自分の知らない、そこのない世界が広がっていて、潜るのが心地よくいつも飛び込んでしまう。きっと今夜も。

『うもれる日々』橋本亮二

多様性があるからこそ、読書は面白い。読書好きの人と話すと、かなり高確率の割合で知らない本を教えてもらえる。

私は古典が好き、とは言っているが、基本はジャンルレスに読んでいるので、どのジャンルであろうと教えてもらえるのが嬉しい(皆さん、どうか私におすすめの本を教えてください!)。

読書の醍醐味は何より、「知らないことを知ることができる」ことなんじゃないかと思う。この醍醐味の部分において、ジャンルは関係ないように感じる。マンガだろうが小説だろうが、この一点においての効能は同じだからである。

ジャンルにこだわる必要もなければ、勝手に優劣をつけて読書レベルを図る必要もないのではないだろうか。

マンガも絵本も、「読書」と言っていい

私はマンガ好きでも、絵本好きでもある。読書と聞くとなんとなく活字(しかもかなり文字数の多いもの)という認識を持つ人もいるが、個人的にはマンガも絵本も「読書」に入れて良いんじゃないの?と思ってしまう。

だって、絵がついていても活字を読んでいるし、「書」を読んでいることに変わりはない。しかも、以前は「マンガ=完全なる娯楽」という印象もあったかもしれないけれど、今はそうではない。

『はたらく細胞』のように、教材に使われるような知識マンガだって増えている。

さらに、多くの人が子どものときに読んだあの伝記系のマンガはどうだろうか。読書と認識している人は少なくないのでは、と感じる。

また、絵本はまだ読書になじみのない子どもたちが、読書に踏み入れる第一歩である。今は「大人が読むべきだなあ」と感じる絵本も充分に増えていて、楽しみ方が広がっている。

先述の「読書の最大の魅力は知らないことを知れること」という話で考えると、マンガも絵本もその条件をクリアしている。これらも「読書」と言っていいはずだ。

気になる本を読めばいい。難しい小説やビジネス書でなくても

ここまでの話を総括すると、「読書」も「本」も幅広いから、その優劣を気にすることなんてない。好きな本を読んだらいい、ということになる。

ただ、読書をそんなにしない人からしたら、「そもそも好きな本とは?」というところにぶち当たるのではないだろうか。そんなときに素敵だなと思ったのが、以下の考え方。

本というと小説を想像しがちですが、身近な興味についての本を選ぶと、自分の好きなことを深く知るきっかけに。だから本に手を出しづらいという人は、日常生活で「なんか気になる」「最近よく見る」と思ったときがチャンス。TVなどメディアで出会った“気になる”を軸に考えると、手にとるべき本に気づいて読書が楽しくなります。

OZ magazine PLUS 2016年9月号「なんとかしてくれる本とマンガ」山口博之さんコメント

「難しい本は読めない」とか、「読書すると眠くなってしまう」という人も、本に苦手意識を持つ必要は全然ない。何でもとにかく、気になるところから手を出して、好きなように読んでみたらいい。

世間一般的に有益でなくても、読み終えられなくても、それは充分、「読書」なのだから。



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