料理家・高山なおみさんのやさしく温かな日々の記録『日々ごはん』①



『日々ごはん』は料理家・高山なおみさんの日記。第一巻は、2002年の春先から同年の夏が終わるまでの日々が綴られている。たくさんの美味しそうな食事が登場するほか、言葉選びが丁寧でじんわりと沁みる。ときどき読み返すと、心が浄化されるような感覚がある。

食を中心に、日々が回っていく

高山さんの日々はタイトルの通り、食を中心に回っているようだ。料理家としてレシピを考えたり、食堂『クウクウ』で働いたり(※発刊当時 2003年閉店)、家族や自分のために料理を作ったり、友人たちと外食を楽しんだり……

さらに各ページの右横には、「ほうれん草のお浸し」「鰹のたたき」「カレーライス」などと、そのページに登場した献立が書かれていて、それもまた食好きの人の日記らしくて楽しい。これらの一部はレシピも紹介されていて、「新ごぼうのハンバーグ」「ソーセージと蕪の白いシチュー」など、作ってみたいものばかりである。

料理家の日々と聞くと、家でもこだわりの料理を作って食べていると思う人も多いかもしれない。確かに日記に登場する食はどれも美味しそうだが、意外にも料理に失敗した話や手を抜いた話などもたくさん出てきて親しみがわく。

残りものの赤ワインでハンバーグのソースを作る話では、「赤ワインのせいで酸っぱ過ぎた。入れない方がよかったな」と反省していたり、「お腹がすいて目がまわってきたので、サッポロ一番のみそラーメンを作っています」とインスタントが出てきたり、作ったごはんを自身で「手抜き粗食」と呼んだり……ついつい微笑ましくなってしまうエピソードも多いのである。

食を通して、人とつながる

本書を読んでいると、「食」はつくづく、人と人とを繋ぐものなのだなと感じる。日記には飲食店の人々や肉屋、魚屋などとの会話もよく登場し、食を通じてコミュニケーションを深めたり、新たな食のアイデアを教えてもらったりしている。例えば、魚屋さんで買い物をしたときの話。

もずくは「雑炊に入れるとうまいよ」とおじさんに言われ、「スープにもおいしいですよね」とつい答えてしまう。「ほんとはいちばんうまいのはさ、うずらを落として三杯酢だよな」と、続けるおじさん。生のもずくなので塩をしてない。能登半島のもずくだそうだ。

『日々ごはん』① p.40

あるいは、八百屋のレジのおばちゃんに赤みず(東北の山菜)の茹で方を聞いた際には、おばちゃんが皮のむき方まで指南してくれ、「ちょっとめんどうだけどね、やってみて。おいしいんだから」とアドバイスをくれる。

このやりとりを読むのも好きなのだが、ここ数年はコロナ禍の影響で店舗でのコミュニケーション”が減ってしまったこともあり、今読むとよりしみじみ感じ入ってしまう。ああ、私も久しぶりにこういう買い物がしたいなあ……



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