新生『メトロミニッツ ローカリズム』リトルプレスで旅するローカル

東京メトロのフリーペーパー『メトロミニッツ』が、2021年にリニューアル。「ローカリズム」の名を掲げてスタートした。第2回目に配布された特集は「リトルプレスで旅するローカル」。地方で制作されているリトルプレスから見えるローカリズムを紹介している。興味深かった箇所とともに、感想をまとめ。

ローカルメディアだからこそできること

実のところ、私はローカルメディアが大好きで、地方に行って見つけては、少しずつ集めている。その土地でしか作れないメディアは、オリジナリティと魅力にあふれているからだ。

ローカルメディアは一般的なメディアと何が違うのか。それはやはり、より地域にクローズアップしているという点だろう。では、それ以外にはどんな魅力があるといえるのだろうか?「地方発メディアとローカルの宝物」では秋田のローカル誌『のんびり』の藤本智士編集長が取材されており、ローカルメディアの魅力が語られていた。

面白かったのは予定調和にならないよう、台割(本のページ割)を作らないということ。これはまず、全国展開で大きく流通している雑誌ではありえないといえる。「ひとつの特集取材に何十ページも割いたり、取材の過程までもすべてエンタメにしたり」(p.18)しているといい、そのときの温度感を大切にしていることがよくわかる。

また、ローカルメディアは地元の人が作っているイメージもあったが、『のんびり』は藤本氏は県外からやってきた人物。地元の人ではないからこそわかることも多いのだそうだ。例えば本誌によれば、秋田県は少子高齢化、人口減少率1位と言われるという。一見マイナスの印象を持つデータであるものの、だからこそ「魅力がある」「宝物に溢れた場所」だと語る。

地元のみなさんは普通だと思っているかもしれないけど、僕ら“よそ者”からしたらめちゃくちゃ特別なことがたくさんあることを伝えたかった。秋田の人たちに『そうやったんや』と自分たちに誇りを持ってもらう仕組みをセットしたというのが、『のんびり』を編集した意味としては大きかったですね(p.18)

私自身、東京に住み始めて長くなるが、久しぶりに地元に帰ると、「地元はこういういいところがあるなあ」などと再発見することがある。そこに住んでいる人がわかる魅力もあれば、住んでいないからこそわかる魅力もあるのだ。

気になるローカルメディアピックアップ

本誌では、ローカルメディアがいくつか紹介されていた。気になるメディアをメモ。現地に行ったら絶対に購入したい。

TOFU magazine(岐阜)

2020年3月創刊。発行元はリトルクリエイティブセンター。東京において想像以上に岐阜の知名度が低いことを知り、逆手にとって「岐阜のイメージづくりから発信まで自分たちで行うチャンス」と考えたという。「TOKYO」と「GIFU」でTOFU。巻頭特集では毎回岐阜県の42市町村を1つずつ取り上げるほか、東京の情報も掲載されているのだとか。

TOFU magazine 公式Instagram

OTA magazine(群馬県太田市)

なんと、市民がライターをやっている雑誌。属性は会社員や主婦、学生などさまざまだそうだ。地元を愛する人たちの情報だからこそ、「ディープで鮮度抜群」とのことで、とっても面白そう。制作チームの中心は太田市役所広報課の方々というのも驚き。地元を挙げて作っている感じがする。

OTA magazineについて

先述の通り、ローカルメディアは見つけるたびに購入しているが、それでもまだまだ知らない媒体は多い。今回の特集は新たなローカルメディアを見つけられただけでなく、改めてその魅力を見つめ直すきっかけになったように思う。私のローカルメディアを巡る旅は、まだまだ続くだろう。

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襟田 あいま
食べること・読むことがとにかく好き。食と本にまつわる雑感を日々記録しています。