「おまけ冊子」に詰まった作り手の愛に、いつだって感動してしまう

先日、手持ちのフリーペーパーや冊子を整理していて、ふと気づいた。私は結構、「おまけ冊子」を持っている。

おまけ冊子というのは、本や雑誌に付録でついていたり、映画を見に行くともらえたりする、数ページから数十ページ程度の冊子のことである。内容はさまざまだが、作品の解説や、そこでしか読めない限定ストーリー、エッセイが多い。

“おまけ”なのであくまで無料で、側面的なものではある。しかし、私はこれが本当に大好き。なぜなら、作り手の愛がめちゃくちゃ詰まっているからだ。手持ちのものを、いくつか紹介してみたい。

「H.A.Bノ冊子(またはサッシ)」シリーズ

「H.A.Bノ冊子(またはカタカナでサッシ)」シリーズは、東京・蔵前の本屋『H.A.Bookstore』(※現在実店舗は閉店)に行って本を買うと貰えていたおまけ冊子。さまざまな人が本・本屋にまつわる日記やエッセイを寄稿している。

定期的に通っていたので何冊か持っているのだが、毎度「これがおまけ!?」と驚くほどに充実した内容。回を重ねるごとにページが増えたりパワーアップしたりしていて、本を買う時の楽しみの一つになっていた。

「こんなに面白い話だったんだ!」村上春樹

J.D.サリンジャーの小説『フラニーとズーイ』についていた、小説の解説冊子。本来であれば文庫本の中に収められるような内容だが、サリンジャー自身が「まえがき」「あとがき」のような小説外のものを入れたがらないそうで、このおまけ冊子ができあがったとのこと。

『フラニーとズーイ』は宗教性が強いという側面があり、気難しい作品でもある。だからこそ、おまけで時代背景や文体を細かく説明してくれるのは、読者としてとてもありがたい。このおまけがなければ、同作を楽しめなかった可能性すらあるはず。

「夜は短し歩けよ乙女 銀幕篇」森見登美彦

森見登美彦さん原作のアニメ映画「夜は短し歩けよ乙女」を観に行った際にいただいた、来場者特典。作品のアフターストーリー的なもので、映画を観た後に読むと「ふふふ」と小さな笑いが漏れる、ほっこり冊子となっている。

私は原作のファンでもあったので、この冊子は一層ぐっときた。今久しぶりに読み返しても、主人公の「先輩」に対する愛おしさが止まらない。

おまけ冊子の良いところは何と言っても、作品やサービスから漏れ出た愛が詰まっているところ。本編・本サービスには入りきらないほどに溢れたアレコレが、ぎゅぎゅっと凝縮されている気がするのである。

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襟田 あいま
食べること・読むことがとにかく好き。食と本にまつわる雑感を日々記録しています。