人生を支えてくれた本とマンガについて考える。『OZ magazine PLUS』2016年11月号



人生はいろんなことがあるけれど、乗り越えるときに本や漫画が力になってくれることがある。

『OZ magazine PLUS』2016年11月号は「なんとかしてくれる本とマンガ」がテーマ。さまざまな人たちが人生を“なんとかしてくれた”本やマンガを紹介している。ぜんぶで255冊も掲載されており、かなり充実した内容だった。

本とマンガにある効能とは?

私自身たくさん、本とマンガに支えられてきた。人生を救ってくれた作品は数えきれない。ではどんなふうに救われてきたのか。それは本誌の中にもたくさんヒントがあった。例えば、以下の二つは大きいと思う。

新たな視点を与えてくれる

本もマンガも、言うなれば誰かの世界を覗く手段。自分では考えたことのないアイデアや視点を知るきっかけになる。

本誌によれば、女優の蒼井優さんは『生物と無生物のあいだ』『春宵十話』の2冊を挙げていた。前者は生物学者の福岡伸一さん、後者は数学者の岡潔さんの作品である。彼らの作品は、蒼井さんにとって「私の視点を変える扉を開けてくれた」存在なのだという。

ひとつのことをいろんな視点で見られるというか。“あ、そういう考え方もあるんだ”みたいな発見が楽しい。ときに視点を変えながら、ものごとをさまざまな角度から見られると、人生はなんとかなるのかもと思えます。

『OZ magazine PLUS』2016年11月号「なんとかしてくれる本とマンガ」

他人の思考を本から自分の体内に取り込む。すると、自分では考えつかなかった新たな視点を手に入れることができる。それは人生の幅を広げ、豊かにしてくれるはずだ。

私にとってもこの効能はかなり大きく、本やマンガがなければいったいどんな人生を歩んでいたのか想像がつかない。ただ、今よりきっと寂しい人生を、送っていただろうなとは思う。

くじけそうなとき、そっと背中を押してくれる

本やマンガによって励まされることもある。

女優の吉岡里帆さんは、「辛いとき、夢をあきらめそうになったとき、いつも本はそっと力をくれます」と話す。本誌ではその一例として、夢をあきらめそうになったときに友人がプレゼントしてくれたという『あさになったのでまどをあけますよ』(荒井良二)が紹介されていた。

この絵本は“あなたが見ている景色がいちばんキレイなんだよ”と語りかけてくれ、なんでもない日常を肯定してくれるんです。描かれている内容はシンプルだけど、この道で間違っていないと前向きになれます。今でもくじけそうになったときは読み返して、元気をもらっています。

『OZ magazine PLUS』2016年11月号「なんとかしてくれる本とマンガ」

小説やマンガのキャラクターたちに鼓舞されることもあれば、たった一文に元気づけられることもある。前述の他人の視点を得ることにも繋がるが、そのときの自分にはなかった前向きな力を、作品が与えてくれるのである。

フィクションは現実逃避なのか?

「フィクションにのめり込むのは現実逃避だ」と言う人もいるだろう。たしかにそういう側面もあるかもしれないが、それでも現実の自分に返ってくる影響は大きい。

マンガが大好きだという本田翼さんは、『かくかくしかじか』(東村アキコ)、『Paradise Kiss』(矢沢あい)、『3月のライオン』(羽海野チカ)など主人公が自分自身に向き合い、闘うマンガをピックアップしていた。「最初は現実逃避だったものが、読むうちに現実の自分が励まされたりするからマンガっておもしろい」とコメントしている。

映画監督の西川美和さんもまた、『オウエンのために祈りを』(ジョン・アーヴィング)や『銀の匙』(中勘助)を挙げ、「本を通じて“人”の言葉や生き方に触れることで、モヤモヤとした気持ちに風穴を開けてもらうことが多い」という。フィクションに登場するキャラクターはたしかに架空の人物かもしれないが、それでも彼らの言葉や行動に感銘を受け、現実の自分が勇気づけられることも充分にあるのだ。

私の人生を支えてくれた本とマンガ

「自分の人生を何とかしてくれた一冊って何だろう?」と考えてみたが、多すぎて難しかった。例えば村上春樹さんや吉本ばななさん、江國香織さん、山本文緒さん、川上弘美さん、川上未映子さん、綿矢りささん……純文学や感情の揺り動かされる作品には、散々お世話になってきた。

さくらももこさんや三浦しをんさんのエッセイは辛いときにもたくさん笑わせてもらったし、将来に悩んだときは『キャッチャー・イン・ザ・ライ』などを読んで、「こんなふうにもがくことも大切かもしれない」と励まされた。

古典文学がこんなに面白いなんて、と感激したのはジェイン・オースティンの作品だったし、現代のイギリス作家のすばらしさを知ったのは、マキューアンやイシグロの作品だった。たくさんの本が私の人生を支えてくれ、新しい世界を見せ続けてくれている。

悩みや不安を抱えている人がもっと本やマンガに触れて、自分を助ける術を知ることができたらいい。本とマンガがあれば、なんとかなるのだから。



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