『いつかティファニーで朝食を』⑨ 気持ちを切り替える新・卵かけごはん、そしてニューヨーク



毎回魅力的な朝食を紹介してくれるグルメ漫画『いつかティファニーで朝食を』。第9巻は、主人公・麻里子とその親友・典ちゃんに大きな変化が訪れる。環境が変わっていく中で、朝食は気持ちを切り替えるきっかけをくれたり、新たな出発の後押しをしてくれたりする。これまで同様、印象的な場面と気になる朝ごはんの数々を、少しだけ紹介しておこう。

有休で気持ちを切り替える。新感覚卵ごはん

第9巻では、これまで麻里子とともに働いてきた後輩・菅谷が退職。麻里子は菅谷のことが気になっていたものの、菅谷に彼女がいることもあり、気持ちに蓋をしていた。

しかし、いざ菅谷の送別会になってみると、気持ちがあふれ出してしまう。これまで自分の気持ちに気づかないふりをしていた麻里子が、はじめて菅谷への気持ちを認め、曲がりなりにも告白をするシーンにはぐっとくる。

私 菅谷にたくさん助けられてきたの
本当に落ち込んでる時に支えてくれたのはいつも菅谷だったの
これからも支えて欲しいなって思ってた
だからくやしい アンタを連れてっちゃうブランドなんか
さっさとつぶれろって思っちゃう
……でも がんばってね
3年間本当にありがとう 私 菅谷が大好きです

『いつかティファニーで朝食を』⑨

師弟愛ともとれる発言で、会社の皆も菅谷もまさか恋愛感情とは気づかない。菅谷は麻里子のことを「一番大事な先輩」と言ってくれる。同じく後輩のきみちゃんだけがそのことに気付き、「おつかれ」と優しく抱きしめてくれるシーンに思わずこちらも泣けてくる……

翌日、麻里子は有休をとり、朝ごはんを食べに出かける。向かったのは『江ノ島小屋』。湘南の海を見渡せる定食屋だ。メニューは美味しい魚を活かした「漁師汁定食」や魚の煮汁をかけて食べる「煮汁卵かけご飯」など、おいしそうなラインナップ。麻里子はその中から、煮汁卵かけご飯を注文し、夢中で頬張る。

こんな魚の身がごろごろ入った卵かけご飯初めて!
甘くてまったりしててまぁるい味
しみる……そして包んでくれる味……
卵かけご飯って いっつも優しい……

『いつかティファニーで朝食を』⑨

送別会を思い出しながら、朝ごはんで心を満たしていく麻里子。そして気持ちを切り替え「今日はどんな一日にしようかな」と、前を向くのである。

StockSnapによるPixabayからの画像

典ちゃんがついにNY上陸。最初に食べる朝食は?

典ちゃんは、昔からの夢だった留学を果たすため、ついにニューヨークに向かう。着いて翌日、早速向かったのは、しばらく滞在するゲストハウスの管理人におすすめと教えてもらった『THE GENERAL GREEN』。美味しい朝食を食べられる人気店だ。

入念に地下鉄の乗り換えを調べ、メトロカード(地下鉄の乗車カード)を購入し、いざ店へと向かう。日本人が誰もいない店内で、店員と会話し、見たことのないメニューを注文する典ちゃんは、充実感に溢れている。テーブルに運ばれてきた料理も、いつものように写真を撮ってSNSに載せようとするものの「せっかく一人なんだから この思い出は私だけのものにしよう」とそっとスマホを置く。

ここで食べた「卵を使ったエルサルバドル風の朝食」が、ニューヨークで初めての朝ごはんとなった。

生まれて初めて食べる食べもの
私はこれから毎日 生まれて初めての経験をするんだ……
私だけの宝物が どんどん生まれていくんだ

『いつかティファニーで朝食を』⑨

また、別の日には卵料理専門店の『egg』へ。かわいらしい外観やテーブルに置かれたクレヨンに心が躍る。典ちゃんは聞いたことのないメニューに挑戦するということで、「グリッツ&エッグ」を注文していた。ちなみにグリッツとは、乾燥したトウモロコシを挽き、水や牛乳で煮込んだものなのだという。典ちゃん曰く、「マッシュポテトみたい」とのこと。

同店は現在、『egg東京』として日本にも進出している。ニューヨークにすぐに行くのは難しいが、東京であれば行けそうだ。

今回もさまざまな朝食店が紹介されていたが、前述以外にもたとえば、大阪の24時間営業のダイナー『U.K WILDCATS』も面白そうだった。海外のおもちゃや看板が並ぶ店内に、メニュー一個一個に丁寧に書かれた物語のような解説、スジ肉の入った料理を「リトル・スージー」と名付けるネーミングセンス……随所にオーナーのこだわりを感じられて楽しそうである。ぜひこちらにも、伺ってみたいところだ。

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たけの
フリーの編集者・ライター。食関連の書籍・雑誌・Webサイトで活動中。祖父母は定食屋、両親はレストランを経営。飲食店一家に生まれ、食の虜に。美味しい飲食店や料理、食文化・歴史・ニュースなどを発信しています。