人柄が伝わるやわらかなエッセイ『杏のふむふむ』。ユニークな視点に惹きつけられて
エッセイを読んでいるとき、その著者がまるで長年付き合っている友人のように、近しく感じられることがある。杏さんの『杏のふむふむ』は、まさにそんな作品だ。まっすぐで丁寧な言葉を拾っていくたびに、会ったこともないテレビの向こう...
エッセイを読んでいるとき、その著者がまるで長年付き合っている友人のように、近しく感じられることがある。杏さんの『杏のふむふむ』は、まさにそんな作品だ。まっすぐで丁寧な言葉を拾っていくたびに、会ったこともないテレビの向こう...
思えば物心ついた時から、「〆切」はそばにいた。小学生の宿題に始まり、自由研究にレポート、卒論、修論、就活のエントリーシート……ありとあらゆる〆切を乗り切ってきた。 そして大人になってもなぜか、〆切に追いかけられ続けている...
穂村弘さんの食にまつわるエッセイ『きみがいない夜のごはん』では、日常の食に関する不思議が綴られている。ふだん考えたこともなかったが、読んでいると「なるほど……」と妙に納得させられることも多い。 ゆるりとした文章に心は落ち...
村上春樹さんのエッセイを読んでいると、「そう言えばちょっと変だな」とか「確かに、気になる」といった、日常に潜む不思議や面白さに気付くことが多い。こんなふうに日常を面白がれたら、楽しいだろうなあと思う。今回の『おおきなかぶ...
昔、お世話になった先輩に本を贈ったことがある。正確には、先輩のお子さんに、ではあるが、自分が大好きな絵本をプレゼントした。どうしても読んでほしいわけではなかった。本は好き嫌いもあるし、合わなかったら手放してもらっても構わ...
“ノンスタイルなライフスタイル誌”「生活考察」。生活について考えるインディペンデント雑誌である。今回初めて手に取り、vol.6を読んだのだが、この「生活」というテーマの多様性に驚いた。 実際、掲載されているエッセイたちは...
とあるトークイベントに参加した際、『LOCKET』という“独立系旅雑誌”に出合った。手に取ったのはvol.3。透明なプラスチックのような表紙にイエローのロゴ、異国の写真の表紙。どれをとっても新鮮で、興味を惹かれて購入した...
『わたしを空腹にしないほうがいい』。偶然あるイベントで出会い、あまりに素敵なタイトルだったから衝動買いしてしまった。タイトル惚れ…… 空腹にしないほうがいい、ということはつまり、食にまつわる本なのだろうと何気なくページを...
『僕の休日は誰かの平日』は、いろいろな人が「8月8日」の日記を書いたアンソロジー。 日記って本当に個性が出るんだなと、改めて思う。皆同じ一日を書いているのに、出来事や感情がそれぞれに違うのはもちろん、書き方も分量もさまざ...
『日々ごはん』は料理家・高山なおみさんの日記。第一巻は、2002年の春先から同年の夏が終わるまでの日々が綴られている。たくさんの美味しそうな食事が登場するほか、言葉選びが丁寧でじんわりと沁みる。ときどき読み返すと、心が浄...