村田紗耶香『コンビニ人間』。無個性と思われるものの個性と、価値観の押し付けについて考える
コンビニで働く人の話かなあと思い、読み始めた。確かに、そうだった。そうだったが、想像の斜め上を行くとんでもない作品であった。「コンビニで働く」という一つの軸を元に、無意識に社会的価値観に沿って生きる人々、それを受け入れら...
コンビニで働く人の話かなあと思い、読み始めた。確かに、そうだった。そうだったが、想像の斜め上を行くとんでもない作品であった。「コンビニで働く」という一つの軸を元に、無意識に社会的価値観に沿って生きる人々、それを受け入れら...
雑誌で紹介されているのを見つけて関心を持ち、読み始めた中島らもさんの『今夜、すべてのバーで』。読んでいる途中から、「なんだかこれは、すごい本だぞ……」と惹かれていき、読み終えた頃には出合ったことに感謝したくなった。 ふだ...
『掃除婦のための手引き書』を読み始めたとき、各々の物語が何を意味しているのかよく理解できなかった。各主人公の年齢や性別、属性はバラバラで、舞台もそれぞれ異なる。 しかし、読み進めていくうちにその文章の美しさに魅せられ、属...
過去の記憶を思い起こすとき、色が鮮明に浮かぶときがある。自分や誰かが着ていた服、食べていた食べ物、建物、どんなものにも色があって、その色のイメージがぱっと思い出されることがある。 『いろごと』は色をテーマにした短歌・短編...
『ドリアン・グレイの画像(肖像)』に登場する美しい少年、ドリアン・グレイは無邪気で純粋で、それゆえに残酷さがある。無邪気さと残酷さは紙一重だなと感じる。 また、美しさに取りつかれる様、人々が外見によって善悪を判断する様が...
尊敬する誰かの言葉を信じて生きていく、それ自体は素敵なことだと思う。私もいろんな人の言葉を胸に生きている。しかし、信じ切ってそれだけしか見えなくなっているとしたら、それはときに自分を苦しめるのかもしれない。 ヴォルテール...
夫婦って、すごく不思議。それまで他人だった誰かと、急に家族になる。そこには恋愛関係とも、友情関係とも違う、新しい関係性が生まれていく。在り方は十人十色、千差万別…… 江國香織さんの小説『スイートリトルライズ』は、瑠璃子と...
梶井基次郎の短編集『檸檬』は、その多くが漠然とした薄暗い気持ちと、それから逃れようともがく様子が描かれている。「なんとなくしんどいな」というふわっとした薄暗さは、日常の小さなストレスや気候や人間関係や、さまざまなものが積...
誰も知らない真実のテリトリー 守ってあげる 疑わないで寂しさよりも純粋な心が僕には見える 『ポビーとディンガン』みたいに SHAKALABBITS「ポビーとディンガン」 学生の頃によく聴いていたSHAKARABBI...
もう何度目かの読了となるF・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』。大好きな作品である。 30代に突入した今、また読み直してみたところ、どんどんメインキャラクターの一人であるギャツビーが愛おしくなってきて...