愉快な視点ににやり。エッセイ『ひみつのしつもん』岸本佐知子
翻訳家・岸本佐知子さんのエッセイは、だいたいにやにやしながら読む。ゲラゲラ笑う、というのではないし、くすくすでもない。にやにや、が正しい。 とにかく物事を見る視点が面白くて好きだ。にやりと笑って「なるほど」とついつい頷い...
翻訳家・岸本佐知子さんのエッセイは、だいたいにやにやしながら読む。ゲラゲラ笑う、というのではないし、くすくすでもない。にやにや、が正しい。 とにかく物事を見る視点が面白くて好きだ。にやりと笑って「なるほど」とついつい頷い...
阿川佐和子さんはエッセイや対談をよく読ませていただいていて、檀ふみさんはVISAの連載「元気のダンドリ」の大ファン、という私である。そんな好きなお二人のWエッセイ、『ああ言えばこう食う』はやはり、知とユーモアに溢れていた...
『生きるコント』、タイトルが秀逸である。著者の大宮エリーさんのまわりでは、つねに面白おかしいことが起きているらしい。同書で語られるエピソードの数々はとにかく「そんなことある!?」の連続で、「ふふっ」「ははっ」と声に出して...
数ある飲食店の業態の中で、一番愛しているなあと思うのは、実のところ居酒屋な私である。なんで、と言われると雰囲気が、お客さんの賑わう様子が、雑多なメニューが、好きだから。一人で行くのも良し、少人数で行くのも良し、たまに大人...
古本市で見つけた、茶道之研究社編『強肴』(1981年発売)。さまざまな著名人たちが自分のお気に入りのおつまみやお酒、器などを写真とエッセイで紹介している。 50名近くの鮮やかな料理がカラーで並んでいることも圧巻だが、それ...
ずいぶん前に「大塚国際美術館」を訪れた際、モネの「睡蓮」の屋外展示を観た。それまでモネ、ひいては印象派画家たちの描く絵画に関心を持ったことはほとんどなく、どちらかといえばボッティチェリのような宗教画が好きだった。 ところ...
美味しいものには目がない。気になる店はたくさんあるし、食べたいものもおそらく死ぬまで増え続ける。グルメといえば聞こえはいいかもしれないが、基本的に興味のあるものは何でも食べてみたい。どちらかといえば「雑食」という言葉の方...
料理家・有元葉子さんのエッセイ『毎日すること、ときどきすること。』では、彼女が日々行っているルーティンや小さなこだわりが掲載されている。中でも料理やキッチンに関するアイデアで、気になったものを記録しておく。 スキマ時間を...
『おいしい人間』と聞いて、勝手に食べものの話だと思っていたら、おかしくも愛おしい人間の話だった。女優・高峰秀子さんが出会ったさまざまな人、そしてご自身や夫さん、ご家族のエピソードが綴られている。 ……とはいえ、読み終えて...
朝井リョウさんのエッセイ『風と共にゆとりぬ』を読むときは注意が必要だ。つい「ぶはっ」とふき出してしまうのを必死にこらえなければならない。できれば家で、一人で読むのがいい。急に笑い出して、不審者になりたくなければ。 ふざけ...