『檸檬』梶井基次郎。漠然とした薄暗い気持ちに寄り添ってくれる一冊
梶井基次郎の短編集『檸檬』は、その多くが漠然とした薄暗い気持ちと、それから逃れようともがく様子が描かれている。「なんとなくしんどいな」というふわっとした薄暗さは、日常の小さなストレスや気候や人間関係や、さまざまなものが積...
梶井基次郎の短編集『檸檬』は、その多くが漠然とした薄暗い気持ちと、それから逃れようともがく様子が描かれている。「なんとなくしんどいな」というふわっとした薄暗さは、日常の小さなストレスや気候や人間関係や、さまざまなものが積...
翻訳作品に抵抗がある、という人は意外に多いような気がする。海外文学が好きだと言った際に「翻訳が苦手」と言われたこともあるし、英米から影響を受けた日本作家の作品(つまり、“英語っぽい”文章)を「何となく好きになれない」とい...
初めてインドに行ったとき、そのあまりの「異国感」に驚いた。ヨーロッパや韓国に行ったときは外国ではあったけれど身近というか、馴染みのある感じがしたのに、インドはまったくの別世界。文化が違いすぎて衝撃的であったことを覚えてい...
もう何度目かの読了となるF・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』。大好きな作品である。 30代に突入した今、また読み直してみたところ、どんどんメインキャラクターの一人であるギャツビーが愛おしくなってきて...
恥を忍んで言います。私は今まで『ドン・キホーテ』を一度も読んだことがありませんでした。さらに言えば、三重県出身ゆえ、ドン・キホーテと言えば「志摩スペイン村(パルケエスパーニャ」のキャラクターのイメージ。 かっこよくて勇敢...
柴田元幸さん編集の雑誌『MONKEY』、vol.10のテーマは「映画を夢みて」。映画にまつわるエッセイや小説、翻訳作品、さらには脚本まで掲載されており、映画×言葉の面白さがふんだんに詰まっていた。 カズオ・イシグロの劇作...
一読者の私が思うに、村上春樹さんは読者との対話をかなり大事にしている作家だと思う。メディアに大々的に出てくるわけではないが、読者の疑問に真摯に答えてくれていることに、ファンとしてはありがたみを感じる。 『村上さんのところ...
『漱石全集を買った日』は、古本屋を営む山本さんと、その客である清水さん(本書内ではゆずぽん)の古本を巡る対談。清水さんがどのようにして古本と出会い、ハマっていったのかを紐解いている。 面白い本や古本屋さんが知れるかなあと...
自分が生まれる以前の文学作品に、どうしようもなく惹かれる。私たちが生きているこの時代の何十年、何百年も前に生きた人たちが、どんなところで暮らし、どんなことを考えてきたのかを知ることができるからだ。 現代では考えられないよ...
日記文学は面白い。誰かの一人称で綴られるリアルな日常は、たとえトンデモ事件が起きなくても楽しいのである。朝起きてから夜眠るまでにしたことを淡々と書いているだけであったとしても、なぜこんなにも、私の心を躍らせてくれるのだろ...