「CDT」は形といいデザインといい、飛び出している留め具(コレクションするのに便利!)といい、インパクトのある見た目をしている。表紙は紙を切り貼りしたコラージュのようになっていて「なんだこのZINEは!?」と一気に吸い寄せられて手に取った。
いざ開いてみれば、各人の日常にまつわる文章が、切り抜かれた新聞記事の如くペタペタと貼り付けられている。
それらは雑多でとりとめがなく、それでいて温かく、読み終えると一つの大枠が見える。まるでお気に入りの記事を切り貼りした、一冊のスクラップブックのようなのである。
いい加減さが愛おしい、家ごはん
03のテーマは「COOK(料理)」ということで、各人が料理にまつわるエピソードを紹介している。どれも楽しく読んだが、特に家のごはんについて書いているエッセイがいくつかあり、私はこれが好きだった。
例えば、穂村弘さんは妻さんが作ってくれる料理のレシピを記載しているのだが、「その時、家にあるものを入れて」という一文がある。
穂村さんの「言えにはずいぶん色々なものがあるからなあ」というコメントとともに笑ってしまった。料理好きとしては「わかる、家のレシピってこうだよね」という気持ち。
家にあるもの。肉の煮込み料理なのでおそらく旨味を出すために入れるもの、たとえば余った野菜などのことを言っているのだろう。料理をする人であればある程度想像できる。
おそらくこのレシピは、他人に見せようと思って作ったものではないだろうし、家で自分が忘れないように、とか、友達に聞かれたらちょっと教える、とかが目的なのではと推測する。とっても美味しそうなので、私も作ってみる予定。
松本弦人さんの「※レシピのラフ」や平林奈緒美さんのたくさん料理をするのにmyレシピがない話、有山達也さんのせん切りキャベツのちょっと特別な食べ方の話も面白く、共感した。
家ごはんは自己満足・家族満足(?)が重要なので、人から見れば「なぜ?」と思われるような考え方や手順が多く潜んでいるのだな、と感じたのだった。
初めて手にした「CDT」、とても素敵なZINEでした。03ということは01、02があるだろうし、続くのかもしれない。また新刊かバックナンバーに出合えたら買いたいところ。
コメントを残す