未経験から都市型ワイナリーをつくるまで――セブンルール『BookRoad~葡蔵人~』ワイン醸造家 須合美智子さん



2020年11月17日の関西テレビ放送「セブンルール」では、御徒町のワイナリー 『BookRoad~葡蔵人~』を経営するワイン醸造家・須合美智子さんが紹介された。2017年に同店をオープンしたばかりにもかかわらず、醸造したワインが「日本ワイナリーアワード2020」で三つ星を獲得。ハイペースで素晴らしいワインを輩出している。

いったいどんなきっかけでワインづくりを始め、どのように美味しいワインをつくりだしているのか。放送内容からその秘密を学んでみることにしよう。

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気軽に行ける都市型ワイナリーを目指して

『BookRoad』は御徒町の路地にある。約10坪のこぢんまりとした空間だが、年間一万三千本ものワインを生産しているというから驚きだ。一階では醸造を行っており、さらに三階では試飲と販売を行っている(2020年12月9日現在はコロナ禍で休止中)。

初めて存在を知って伺ってみたとき、こんなところにワイナリーがあるのかと驚いた。それくらい、住宅やビルのなかになじんでいる。

御徒町でワイナリーを開いたことについて、須合さんは「台東区だからこそ『どういうところだろうね このワイナリー?』って思ってもらったときに『明日行く?』とか気軽にできるんじゃないかなって」とコメントしていた。まさにふらっと行ける都市型ワイナリーなのだ。

445693によるPixabayからの画像

全くの未経験からワイン造りの道へ

須合さんはもともと、飲食店のパートをしながら主婦として家庭を守っていたという。しかし、パート先がワイナリーを立ち上げるという話を聞き、ちょうど子どもたちも手が離れた時期であったため、「楽しそう、自分がつくってみたい」と感じた。そこで全くの未経験からワイナリーの責任者に立候補し、山梨のワイナリーで修業をつんで、醸造免許を取得したのだそうだ。

本編では、そんな行動力のある須合さんだからこその言葉がいくつも飛び出していた。

「ワイナリーを自分でやってみたい」「ワインを造ってみたいって言ったときでもう45歳だったんですけど、「やりたいって思ったらやったらいい」っていうのが私の考えだったりするので

「セブンルール」『BookRoad~葡蔵人~』須合美智子

「ママはワインを知ってるの?」って言われましたけど、知ってないし造ったことない。「できるの?」って言われましたけど、やってみないとわからないし、やる前からできないって決めるのは違うと思う

「セブンルール」『BookRoad~葡蔵人~』須合美智子

初めてのワイナリーづくりは戸惑うことも多かったというが、それでも農家とのやりとりを続け、スタッフを増やし、今のような形をつくり上げていった。

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ワインの要・葡萄には徹底的にこだわる

『BookRoad』で使う葡萄は、国産100%。茨城県の自社農園と各地の契約農家から葡萄を仕入れている。葡萄の収穫も自身で行っており、ワインに適さない実を一粒一粒切り落とし、丁寧に見極めていく。

さらに面白かったのが、セブンルールの【ルール1】でも紹介された、葡萄の味見方法だ(葡萄は種ごと味見する)。葡萄を味見するとなると実の部分を想定するが、須合さんは種ごと食べるという。ぼりぼり食べる姿が印象的だった。

種の渋味ってワインにとってとても大切で、「どんなふうにワインに活かせるかな」って考えるためにまず食べてますね

「セブンルール」『BookRoad~葡蔵人~』須合美智子

赤ワインは種や皮ごと発酵させ、渋味を果汁に移すため、種もまたワイン造りの重要な要素になるのだそうだ。

須合さんの葡萄を見きわめ、美味しいワインをつくるセンスには、葡萄農家の方々も厚い信頼を寄せている。「須合さんは葡萄を見てアレンジしてますよね。『今年どんな感じで造ろうか』って出来上がったワインを見るとそういう感じがしますよ。須合さんはわかってるから」と絶賛。葡萄に真摯に向き合っているからこそ、素晴らしいワインをつくることができているのだろう。

葡萄を見たり食べたりして、前回はこんな感じで(醸造を)やったけど「今年はちょっとこうしよう」とか。やっぱりただワインを造ってるだけじゃダメだよねって思いますね。

「セブンルール」『BookRoad~葡蔵人~』須合美智子

また、葡萄を重視しているからこそ「葡萄の美味しさをワインを通して感じてほしい」といい、樽でなくステンレスタンクで熟成を行っている(【ルール2】木樽は使わない)。

木の樽を使うと、葡萄そのものの香りとか味を(樽香で)マスクしてしまうイメージがあるので。
葡萄って品種ごとに味も香りも違っていて、それをまずは飲んでもらいたい、知ってもらいたいんです。

「セブンルール」『BookRoad~葡蔵人~』須合美智子

『Book Road』のワインはそれゆえ、葡萄の味わいがしっかりと感じられ、100%のジュースのようなフレッシュさがある。

Free-PhotosによるPixabayからの画像

独自のラベルデザインが目印に

『BookRoad』のワインの目印と言えば、独創的なラベルデザインだ。ワイングラスとさまざまな食べ物が組み合わさったイラストが掲載されている。

本編では、ラベルを決める企画会議の様子も紹介された。ラベルのデザイナーを招き、完成したばかりのワインと各スタッフが持ち寄ったおつまみを囲んで、デザインの案を考えるそうだ(【ルール3】ラベルのデザインはワインに合う食べ物)。

何と飲んだら美味しいか、組み合わせがいいかってことを提案したいと思って、ワインに合う料理をデザインしています。
お客さんとか、いろいろお話していると「ワインに詳しくないんで」っておっしゃる方すごく多いんですけど、難しく考えないで飲んで欲しいっていうのがまずあるので。手に取るきっかけが楽しいことであって欲しい

「セブンルール」『BookRoad~葡蔵人~』須合美智子

選ばれた食べ物はユニークなものが多い。私が購入した「富士の夢」は今年のものは「あんぽ柿」、去年のものは「ザクロ」だった。どんなおつまみが合うか、どんな楽しみ方があるのかをオリジナリティあふれる方法で提案してくれるのは、飲み手にとっても嬉しいことである。

Franz BachingerによるPixabayからの画像

葡萄と蔵と人をつなぐ場所

『BookRoad』では毎月試飲できるバルを開催。客との交流を大切にしている。(【ルール6】毎月必ずバルを開く)。ワインは一杯300円、おつまみセットも同額で販売しており、気軽に『BookRoad』のワインを楽しむことができる。

ここにワイナリーがあったんだって気づいてもらえるし、直接お客様が目の前で飲んでくださるので、まずは「どうですか?」っていう感想を今飲んで今聞けるっていうのがバルを続けている理由

私も参加させてもらったことがあるのだが、買う前にいろんなワインを味わうことができ、角打ちのような賑わいもあって楽しかった。

こうしたバルを行う背景のひとつには、店名に込められた意味が関係しているという。

『BookRoad』っていう名前も「葡萄と蔵と人が繋がって繁栄していけたらいい」っていう気持ちがあって付けた名前なので、名前の通りだなって感じることが楽しい

葡萄にこだわり、葡萄の味わいを最大限に活かせるようにワインをつくり、そのワインの楽しみ方をたくさん提案してくれる。まさに『BookRoad』の名にふさわしい場所といえるだろう。

BookRoad~葡蔵人~ 公式ホームページ

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