創作中華『美虎(みゆ)』の独創的なアイデアと繁盛の秘訣――セブンルール『美虎』五十嵐美幸シェフ



渋谷区幡ヶ谷の住宅街にある中華料理『美虎(みゆ)』。豚の角煮を黒酢で仕上げた「豚の角煮酢豚」や、油揚げで包み旨味を閉じ込めた「美虎特製 五目油揚げ焼売」、「肉じゃが坦々仕立て」など驚きのアイデアが光る創作中華だ。現在は幡ヶ谷以外にも、銀座や武蔵小杉に店舗があるという。

2020年11月24日の『セブンルール』の放送では、そんな『美虎』のシェフ・五十嵐美幸さんが取り上げられていた。本編から、美味しい料理の秘訣や独創的なアイデアの素を覗いてみよう。

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創作中華『美虎(みゆ)』ができるまで

五十嵐さんの実家は都内の中華料理店『広味坊』。幼い頃から厨房が遊び場で、「小学校4年生で餃子も肉まんも握れてたし、エビ剥くのも早いし、だからエビ剥きの美幸って呼ばれたりとか」という。

高校を卒業後は本格的に料理の道に進み、さらに21歳の頃、病の父に代わってなんと料理長に就任。その手腕は素晴らしく、1997年9月26日放送の「料理の鉄人」では、当時最年少の22歳で中華の鉄人『四川飯店』陳建一さんと接戦になった。陳さんも当時をよく覚えているといい、「独特の感性だった」とコメントしている。

そして2008年には実家から独立、『美虎』をオープン。それまで中華料理の王道を歩んできた五十嵐さんだったが、同店で始めたのは創作中華だった。

Trajan61によるPixabayからの画像

やさしい、中華の技法を使った和食

五十嵐さんのつくる中華料理は、これまでに見たことのないものばかり。本編で紹介されていた、油揚げを使った焼売や坦々風の肉じゃがなど、和食のようなたたずまいでもある。このように創作中華をつくる理由として、五十嵐さんは以下のようにコメントしていた。

中華ってどうしても油と砂糖と塩を多く使うジャンルなんですね。この調味料がどうしても体が疲れてしまうってことに気づいて。毎日食べれる中華っていうのを作りたい(と思いました)

「セブンルール」『美虎』五十嵐美幸

客も「美幸さんの料理はやさしい」「余分なものがない感じ」といい、スタッフもまた、「美幸さんの中華って、中華の技法をめちゃくちゃふんだんに使った日本料理なんです。それくらい味がやさしいので」と語る。

そのやさしい味わいの秘訣として紹介されていたのが、「【ルール1】食材を調味料にする」だった。

食材を調味料にするってことをすごく大切にしているので、だからいろんな野菜のペーストをそのときそのときのお料理で調味料代わりにするんです。食材のペーストの甘味とか香りをつけるようにすると、全然重くないので

「セブンルール」『美虎』五十嵐美幸

例えば今回はカリフラワーのペーストをつくっていたが、ただミキサーにかけるのではなく、事前に素揚げしてアクを抜き、湯通しして余計な脂を落とし、さらに自家製の鶏だしをかけて一時間以上蒸し上げる。このペーストを活用することで調味料はほとんど使わず、味つけは塩のみで済むのだという。そのほか、黒にんにくやねぎ、かぶのペーストなど、さまざまなペーストをつくっているそうだ。

こうした野菜のペーストを活用することには、やさしい味づくり以外の意味合いもある。「パンと味が来るんじゃなくて、人間の五感を刺激して『なんだこの香り』『なんだこの旨味は』とかっていうのを大切にしたい」という五十嵐さんのこだわりが、『美虎』の料理には詰まっているのである。

Lucas WendtによるPixabayからの画像

自分にできることを考え、今の道にたどり着いた

五十嵐さんは、中華鍋ではなく家庭でもよく使われるようなフライパンを使っている(【ルール2】中華鍋を使わない)。それには意外な理由があった。

大きくて重い鍋は、女性が振るうことがなかなか難しい。それもあって、女性の中華料理人は点心やデザートに注力する人も少なくないそうだ。しかし、そんな中でも五十嵐さんはまわりに負けまいと、中華鍋を振るっていたという。

ところが、がむしゃらに鍋を振るっていたところ、体の一部に負担が来てしまい、「後縦靭帯骨化症」に。感覚障害、運動障害などを引き起こす難病で、回復した今も後遺症と戦っている。

鍋は振るえない、それでも中華料理をつくるにはどうすべきか。そうしてたどり着いたのが、中華鍋を使わないやり方だった。「鍋を振らなくてもそれ以上のものをつくらないと世の中には認めてもらえない」と考え、中華鍋でつくる中華料理に負けないよう、さまざまな工夫を凝らすようになったという。

例えば、火にかける前に食材を油になじませる、効率よく火を通すために蓋を閉じるなど中華の技法にアレンジを加えている。中華鍋を手放したからこそできたスタイルは、五十嵐さんにしかできない技である。

新メニュー開発のアイデアはスーパーや近所から

『美虎』の料理はどれも独創的なものばかり。オリジナリティあふれる発想は、どこから出てくるのだろうか。それが「【ルール3】新たなレシピの創作時にはスーパーへ必ず行く」に隠されていた。

五十嵐さんはレシピ本の出版やテレビ番組の料理コーナーへの出演なども行っており、店で出す料理以外にも、ふだん家庭でつくるような料理を考えることも多い。そこで必ず新作をつくるときはスーパーをぐるぐる回り、どんな食材があるかをひたすら見るのだという。例えば、スーパーでインスピレーションを得た一品に「かつお節の唐揚げ」がある。

パリパリで旨味、みたいなものをずっと探してて、かつお節を見つけたんです。これを鶏肉にまぶしたら絶対旨味が相乗効果するって気づいて。乾物は特に中華は得意なので、そこを徹底的に探って。
これを超えるものはないです。日本中の人たちに教えたいし、日本を代表する唐揚げだって世界にも伝えたいくらい

「セブンルール」『美虎』五十嵐美幸

さまざまなアイデアをいかし、丁寧に手間をかけて料理をつくる五十嵐さん。味にこだわることはもちろんだが、それ以上に大切しているのが、思い出を提供することだという(【ルール7】美味しさ以上に思い出を)。

料理人ってお客様に育ててもらうのが一番なんですね。その中でまだまだ私は美味しいっていうものを探して思い出を一緒に作ってもらいながら「美幸ちゃんこんなに成長したんだね」っていうふうに見てもらいたいし、私も作り続けたいかなと思います

「セブンルール」『美虎』五十嵐美幸

十分に客の期待に応えていると思うが、本編ではそれでも現状に満足せず、まだまだ先を目指している五十嵐さんの様子がうかがえた。『美虎』が、そして五十嵐さんが、多くの人に愛され続けている理由がとてもよくわかったのだった。

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