渋谷『活惚れ(かっぽれ)』で魚と日本酒、そして焼酎



渋谷の喧騒から離れた静かな住宅街に、真っ白なのれんを掲げる居酒屋『活惚れ(かっぽれ)』。新鮮な魚とクラフトビールやジン、日本酒、焼酎、フルーツ酒などの多様なお酒を楽しめる。気の置けない友人としっぽり飲むには、ぴったりの名店だ。

コロナも何のその、やさしく賑わう店内

店内に入って驚いたが、このコロナ禍でもしっかりとお客さんが入って、賑わっている。しかし、がやがやしているというよりは、各々が満足げに料理や酒を堪能し、思い思いに過ごしている印象。大きい声を出す人もいなくて、“やさしく”賑わっている感じがした。通してもらったカウンター席にはやはりアルコール消毒があって、スタッフの皆さんはマスク。衛生対策にも気を遣ってくれている。

カウンター席は目の前で調理している様子を見られる。丁寧に魚を取り扱っている様に、食材へのこだわりが見える。一緒に行った友人は、雰囲気の良さにとてもわくわくしているようだった。私もである。

魚料理がメイン。豊富なメニューに目移り

店名の『活惚れ』は、「活魚の“活”に対して、もっと価値を見出す」という意味があるらしい。その名の通り、魚料理がずらりと並ぶ。しかも、驚くほど豊富。メニューの書かれた紙が何枚にもわたっており、目移りしてしまうほどだ。

先に飲み物を注文してメニューを眺めていると、早いタイミングでスタッフの方が声をかけてくれた。「まずおすすめはお刺身の盛り合わせ、それからこの『蟹玉』が名物です」と言いながら、今推しているメニューを流れるように説明してくれた。これは非常にありがたい。私たちが初見で迷っているのを早めに察知し、道しるべをつくってくれたのである。

そのほか、今が旬のサンマ、それから天ぷらも美味しいですよ、とも教えてもらった。全然押しつけがましくなく、まっすぐ「これが美味しいんです」と教えてもらえたのが嬉しかった。また、入り口付近には水槽があり、そこから好きな魚や調理法を指定して注文する、という方法もあるようだった。

お通しはかぼちゃといぶりがっこ、そして魚のあら煮。どちらも絶品

美しい器やグラスで、より気分が盛り上がる

アドバイス通りに、まずはおすすめのお刺身盛り合わせを注文してみた。どれもため息が出るほど、盛り付けが美しい。器の選び方も素敵で感激してしまう。

鮮やかな刺身盛り合わせ。塩や梅、しょうゆ、すだちなど付け合わせもさまざま

お刺身は鱧やブリ、サンマなど旬のものや、マグロやイカの定番ものまできれいに並べられていた。写真に乗り切っていないが、10種ほど。「鱧は梅で、イカはお塩で食べてみてください」と一つずつ味わい方を説明してくれる。器に入っているのはいくらの醤油漬けだった。

「蟹玉」は蟹のほぐし身を黄身酢で。キャビアが添えられていてちょっぴり豪華

名物の「蟹玉」は、蟹のほぐし身に黄身酢がかけられている。上にはキャビア。蟹はそのままでも美味しいですよ、とのことだったので、そのままいただいてから、しっかりとソースと和えて食べた。蟹だけでも十分旨味が感じられて美味しいが、ソースを加えると、よりメリハリがついてお酒に合う。

これ以外にも、タコの唐揚げやマカロニサラダ、軟骨の梅和え(梅水晶)をいただく。居酒屋定番メニューである。

タコの唐揚げはカリッと揚げたものでなく、ポン酢のようなソースがかかっていてしっとりとしていた。予想とは違ったものの、日本酒を少しずつ飲みながらいただくにはちょうど良いつまみ。マカロニサラダは珍しく半熟卵がのっていた。何気ないおつまみでも、味と見栄えにかなりこだわっている印象があった。

クラフトビール、日本酒、焼酎……お酒が進む夜

美味しい料理には、やはり美味しいお酒である。一杯目はまず、「グランドキリンIPA」「常陸ネストホワイトエール」で乾杯した。

二杯目は、日本酒を注文することに。しかし、珍しい銘柄のラインナップで、ほとんど見たことがないお酒ばかりだ。どれがいいのか迷っているとさらにスタッフさんからアシスト。「何か、適当なものをお出ししましょうか」と言ってくれたので、好みを伝えてお任せした。

福島の特別純米『廣戸川』。切子のお猪口も可愛らしい

最初にいただいたのは福島の特別純米「廣戸川」。旨味が強く、バランスが良い。甘さも控えめで、「辛口がいいです!」という我々のリクエストにもこたえてくださっている。

あまりに美味しいので友人とにんまりしながら飲んでいると「本当に美味しそうに飲みますね」とスタッフさん…… この後も「出雲富士」や「作」など、続々とお薦めを出してもらったのだった。

グラスはロゴ入りで可愛い。芋焼酎もいただいた

この立地こそ、今求められている気がする

『活惚れ』は、最寄りの渋谷駅からそこそこ離れている。歩いて10分くらいだろうか。駅近とは言い難い。

確かにコロナ前までは、飲食店の立地と言えば駅近が良しとされている風潮があった。しかし飲食店に行く機会が減った結果、「敢えて行きたい」店に行く人が増えた印象がある。

そんな中で、この立地はとてもいい。密も避けられるし、静かで、心おきなく料理やお酒を堪能できる。きっと、私たちのように外から来た客もいれば、近所で何気なく通っている常連さんもいるのだろう。どちらも受け入れてくれる、温かい空間だった。

活惚れ公式Instagram

活惚れ食べログ(公式情報)



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たけの
フリーの編集者・ライター。食関連の書籍・雑誌・Webサイトで活動中。祖父母は定食屋、両親はレストランを経営。飲食店一家に生まれ、食の虜に。美味しい飲食店や料理、食文化・歴史・ニュースなどを発信しています。