ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』。属性の分断、依存症との闘い、そして文学による救い
『掃除婦のための手引き書』を読み始めたとき、各々の物語が何を意味しているのかよく理解できなかった。各主人公の年齢や性別、属性はバラバラで、舞台もそれぞれ異なる。 しかし、読み進めていくうちにその文章の美しさに魅せられ、属...
『掃除婦のための手引き書』を読み始めたとき、各々の物語が何を意味しているのかよく理解できなかった。各主人公の年齢や性別、属性はバラバラで、舞台もそれぞれ異なる。 しかし、読み進めていくうちにその文章の美しさに魅せられ、属...
『ドリアン・グレイの画像(肖像)』に登場する美しい少年、ドリアン・グレイは無邪気で純粋で、それゆえに残酷さがある。無邪気さと残酷さは紙一重だなと感じる。 また、美しさに取りつかれる様、人々が外見によって善悪を判断する様が...
尊敬する誰かの言葉を信じて生きていく、それ自体は素敵なことだと思う。私もいろんな人の言葉を胸に生きている。しかし、信じ切ってそれだけしか見えなくなっているとしたら、それはときに自分を苦しめるのかもしれない。 ヴォルテール...
ふとしたきっかけで、久しぶりにF・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』を読み直した。大好きな作品でこれまで何度も読み返してきたわけだが、今回初めて「これは夏にぴったりの本だな」と感じた。 今まで読むタイ...
誰も知らない真実のテリトリー 守ってあげる 疑わないで寂しさよりも純粋な心が僕には見える 『ポビーとディンガン』みたいに SHAKALABBITS「ポビーとディンガン」 学生の頃によく聴いていたSHAKARABBI...
翻訳作品に抵抗がある、という人は意外に多いような気がする。海外文学が好きだと言った際に「翻訳が苦手」と言われたこともあるし、英米から影響を受けた日本作家の作品(つまり、“英語っぽい”文章)を「何となく好きになれない」とい...
初めてインドに行ったとき、そのあまりの「異国感」に驚いた。ヨーロッパや韓国に行ったときは外国ではあったけれど身近というか、馴染みのある感じがしたのに、インドはまったくの別世界。文化が違いすぎて衝撃的であったことを覚えてい...
もう何度目かの読了となるF・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』。大好きな作品である。 30代に突入した今、また読み直してみたところ、どんどんメインキャラクターの一人であるギャツビーが愛おしくなってきて...
恥を忍んで言います。私は今まで『ドン・キホーテ』を一度も読んだことがありませんでした。さらに言えば、三重県出身ゆえ、ドン・キホーテと言えば「志摩スペイン村(パルケエスパーニャ」のキャラクターのイメージ。 かっこよくて勇敢...
柴田元幸さん編集の雑誌『MONKEY』、vol.10のテーマは「映画を夢みて」。映画にまつわるエッセイや小説、翻訳作品、さらには脚本まで掲載されており、映画×言葉の面白さがふんだんに詰まっていた。 カズオ・イシグロの劇作...