読書にはさまざまな効能がある。癒し、発見、知的好奇心の充足……感じる効能は十人十色だろう。しかし、ひとたび沼に落ちてしまうと、どこまでも貪るようにページをめくってしまうこともあれば、やらなければならないことをさておいて、気がつけば手に取ってしまっている、なんてこともある。
「BRUTUS」2019年1月15日号「危険な読書」は、そんな深い深い沼の底への一歩を提案する一冊だ。多様なジャンルから、良くも悪くも抜け出せないような危険性のある(つまり、魅力的な)本をたくさん紹介している。
ノンフィクションから社会を学ぶ
政治やジェンダーにまつわる良書がたくさん紹介されていて参考になった。気になっているのはデイビッド・リット『24歳の僕が、オバマ大統領のスピーチライターに!?』。オバマ大統領のスピーチの舞台裏を知れる一冊。オバマ大統領の時代、そしてアメリカ政治を学べる一冊でもあるようだ。スピーチライターという仕事や、オバマ大統領の英語のスピーチも気になるところ。
ここ最近は特に、政治・ジェンダー関連について学びたい気持ちが大きくなっている。学びをどんどん広げていきたい。
辞典を読むのだって読書だ
最も興奮を抑えきれなかった企画は「国語辞典を読む」である。私はその昔、諸事情から教室で国語辞典を熟読していたところ、先生に見つかり(別に悪い事ではないのだが)、「えっと、珍しい趣味やね?」とちょっと引かれたことがある。
大人になって、次第に辞書によって書いてあることが微妙に違うことなどがわかり、より関心を持った。ここでは特に個性的である『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』が登場していた。
それぞれに全く違う特徴があり、「辞典」という言葉一つで括るのは乱暴な気さえしてくる。また、それゆえに「国語辞典は一冊だけ持って満足してはいけない。複数持って読み比べすると本当の面白さがわかってくる」「複数の辞書を比べて自分で判断する方がいい」といった読み方の指南も染みた。ただ意味を調べるだけではもったいない。国語辞典を楽しむ、という新たな道を開拓したい!
入ってみたい「理系読書」沼のこと
私はゴリゴリの文系で、数式などを見るとスッと興味を失ってしまうタイプの人間だが、それでも魅せられる人が続出している以上、いつかどこかで「理系読書」の沼にハマってみたいと思うことがある。
本誌では「理系読書99」というとにかく理系の本を紹介した企画があった。ここから私を理系沼につき落としてくれる一冊が見つかるのではないか、と心を躍らせている次第である。
私も結構沼に使っているタイプの人間だと思っていたが、まだまだ読書の沼は広く、深く、果てしない。一生かけても満足することはないのかもしれないと、本誌を眺めながらわくわくしたのであった。
コメントを残す