町の本屋で、本を買おう。――『NAGI』vol.76 2019年春号「町の本屋 なくしてええの?」



町の本屋は、たくさんのことを教えてくれる。小さい頃から地元の本屋はよく通っていたし、現在の東京の家も、近所に好きな本屋さんがいくつかあって、それが住む理由の一つにもなった。

“三重を刺激する大人のローカル誌”こと『NAGI』vol.76、2019年春号の特集は「町の本屋なくしてええの?」。地元のローカル誌であることも、テーマも気になって購入してみた。すると魅力ある町の本屋たちと、存続のためにできることがたくさん紹介されていた。

町の本屋に行く魅力を再認識

私個人は本屋が好きだが、正直に言って「本屋を必要としない」人がいてもおかしくないとは思う。ネットショッピングも電子書籍も充分に進化した今、わざわざ本屋に、しかも紙の本を買いに行く理由ってなんだろう?

その答えが、同書にはたくさん掲載されていた。

ネットでは出合えない本に出合える

まず、町の本屋で得られる情報は、オンラインでは得られないものも多い。ベストセラーが並んでいるだけではなく、その地域に必要な本が揃えられているからだ。ネットサーフィンをしているだけではたどり着けない一冊に出会えることもあるはず。

本書によれば、伊賀市『岡森書店白鳳店』はツタヤに加盟しているFC店ながら、伊賀市史や忍者本などの郷土コーナー、伊賀出身作家の小説やマンガコーナーがあるという。店長さんは本誌で「地元作家の本がベストセラーに入ることもあって、うちの売れ筋ランキングは他店とは一味も二味も違いますよ」とコメント。まさにここでしか出合えない本を揃えている。

この人に聞けば間違いない、という人がいる

自分が住む町に、「この人に聞けば自分の好きな本が見つかるな」と頼れる本屋の店主がいることは、本好きにとってありがたいことである。

三重県には売ってないだろうとネット注文したり、わざわざ名古屋や京都まで買いに行ったりした本が、ここではしれっと並んでいる。そのたびに悔いるのだ、まず奥山健太郎さんに尋ねればよかったなと。

『NAGI』vol.76 2019年春号「町の本屋なくしてええの?」奥山銘木店

2006年の9月に開業した『奥山銘木店』。店主はもともと建築関係で働いていた方で、同店には建築関係の本、さらには愛猫家であるゆえの猫本コーナー、趣味のオカルトコーナーなどもあるという。ジャンルも人気作も気にせず、自身の好奇心で選書するからこそ、信頼を寄せている人も多いのだろう。

地域の人たちと交流できる

あるいは、本屋の周辺に住む、地域の人たちと本を通して交流できることも、魅力の一つ。

『おはなしの森』では、交流イベントを実施。特に定例で開催される「おはなし会」では、読み聞かせ、素話(話し手が絵本などを何も持たず、聞き手に向けて語る手法)を行っているとのこと。ここに来れば子どもの感性を育めるだけでなく、さまざまな人とコミュニケーションを取るきっかけにもつながりそうだ。

町の本屋を残すにはどうすべき?

こんなに魅力のある町の本屋がなくなっていくのは、見るに忍びない。では残すためにできることは何なのだろうか。本誌で行われた座談会「どうしたら町の本屋を残せるか」では、さまざまな意見が飛び交っていた。気になるポイントを、感想とともにメモ。

残ってほしい本屋で本を買う

当たり前かもしれないが、本屋を残すにはまず、本屋の売上に貢献することだろう。「ひらのきかく舎」を主宰する平野さんは、「本はどこで買いますか?」という質問に、「奥山銘木店です」ときっぱり。

この店が津に残ってほしいから。周りの人にも言うとるの、本当に大急ぎで読みたい本以外は、ネットじゃなく地元の本屋さんで買おうよと。ネットの書店ばかり儲かって、地域の本屋さんが潰れていったら困るでしょ。

『NAGI』vol.76 町の本屋なくしてええの? 座談会・どうしたら町の本屋を残せるか

好きな本屋で本を買う。シンプルだが一番の近道ともいえる。近年は町の本屋でもオンライン販売を行うケースもあるから、好きな本屋のサイトを利用する、というのもありだと思う。

人と触れ合う機会をつくる

また、座談会では「人と触れ合う機会も大切である」という話が飛び出した。平野さんは以下のようにコメント。

音楽では、CDなどの音楽ソースの売上げが落ちても、ライブの売上でカバーしているとか。本もトークライブなどを開催して作家が前に出てきたら、作品が読まれるし売れるような気がする。これからの書店は「人と触れ合う」機会が重要やと思う。

『NAGI』 vol.76 町の本屋なくしてええの?  座談会・どうしたら町の本屋を残せるか

確かに近所でも最近はトークライブやセッション、ワークショップなどを行っている本屋が多い。私もときどきこうしたイベントに参加し、参加後に本を買ったりしている。店主や作家の方と話せるのは楽しいし、本をより深く理解することにもつながる。オンラインにはないつながりを見いだすことが、大切なのだろう。

今こそ、本屋に行って本を買おう

本誌を読むことで、改めて町の本屋の魅力に気付くことができた。そして、やっぱり、多くの本屋に残ってほしいし、本を買いに行きたいと思った。

東京だって、三重だって、個性豊かな本屋が頑張ってくれているのだ。だったら私は、これからも本屋に通って、本を買おう。私ができることは憂うことではなく、本を買いに行くことだ。

NAGI 公式HP



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