私が古典作品を読む理由。物語に耽り、学び、新たな視点を得る……文学オタクの愉しみ

私は古典作品が好きだ。現代の小説ももちろん読むし、大好きではあるけれど、古い作品には現代のものとはまた違った魅力がある。

難しそう、読むのが大変そう……と敬遠する人も多いが、実はそんなこともない、と私は思う。まあ、まずはオタクの戯言を少しだけ聞いてみてほしい。

人間の普遍性を感じることができる

数百年昔の本を読んでいるはずなのに、「うわー、この気持ちわかる!」と妙に共感してしまうことは、決して珍しくない。

私が共感し、初めて声に出して笑った古典作品は、ジェイン・オースティンの『高慢と偏見』。現代のラブコメの原点的存在だと、個人的には考えている。

ヒロイン・エリザベスが、第一印象最悪な相手・ダーシーと次第に仲を深め、恋に落ちていく物語。最初は「嫌な奴」と思っていた人の意外な部分を知って好きになるなんて、現代のラブストーリーにおける王道パターンではないか。不器用ながらに優しいダーシーには、惚れ惚れしてしまう。

さらに、セリフの掛け合いやキャラクターたちの描写が愉快。現代と慣習は違えど、意地悪する人、見栄を張る人、真面目な人……現代にもいそうな人たちがたくさん登場し、彼らは今と同じように、恋愛でも、人間関係でも、自分の将来のことでも悩む。

読むたびに「時代は変わっても、人の性は変わらないんだなあ」と思わされる。特に悩んでいるときや落ち込んでいるときに読むと、「昔から人は同じことで悩み続けているんだ」と妙に勇気づけられ、肩の力がふっと抜ける。

ちなみに、BBC実写ドラマのダーシー役、コリン・ファースはかっこよすぎて最高だし、同小説をオマージュしたとされる『ブリジット・ジョーンズの日記』でも彼が「ダーシー」を演じており、こちらも素敵……

ほかにも、キーラ・ナイトレイ主演の映画『プライドと偏見』は、彼女演じるエリザベスが美しくて、個人的に大好き!

繰り返し映像化されたり、リメイクされているところを見ると、やはり「現代にも通じるストーリー」だと実感する。

歴史や文化を学ぶことができる

作品の描写や何気ないセリフから、歴史や文化を学ぶこともできる。例えば、スタンダールの『赤と黒』。野心家の青年・ジュリアンが夢に向かって駆けあがって行く中、許されざる恋に落ちる、三角関係になるなど愛憎劇が繰り広げられる。

昔読んだときは、ドロドロの恋愛劇やジュリアンの感情の移り変わり、宗教にまつわる記述が印象的であったが、最近読み返す機会があり、改めて当時の時代背景を認識した。

物語では、主人公のジュリアンがナポレオンを密かに敬愛していることが、あちこちに綴られている。同書が発刊された1830年は、ナポレオン失墜後の王政復古の時代。その当時の様子がありありと描かれているのだなあと感じる。調べてみれば、スタンダール自身も『ナポレオンの生涯』『ナポレオンに関する覚書』などの作品を残しているそうだ。

歴史や文化を改めて勉強するとなると、どこから手を付けていいかさっぱり……となってしまいがちだが、作品からであればスッと入り込めるし、調べるのも面白い。

視野が広がる

古典作品を読むようになって一番良かったことは、自分の視野が広がったことだと思う。先述した二点も、ここに集約されるかもしれない。

古典作品を踏襲した現代小説、映画、アニメ、マンガなどは本当にたくさんあるし、「あ、これはあの作品のオマージュだな?」と気づけると、理解も深まって楽しい。私の場合、大好きな『ジョジョの奇妙な冒険』は、古典作品経由で好きになった。

あるいは、マンガやアニメによく聞くような聖地巡礼などもするようになった。何百年も前の作品であっても、その舞台や元原稿が残っている場合もある。それを直接見て、肌で感じると、時空を超えたような気持ちになり、胸がいっぱいになる。

以前読んだ森まゆみさんのエッセイ『本とあるく旅』も、聖地巡礼のようなことを行っていて面白かった。ここに書いてある場所にも、いずれ行ってみたいなあ……

行きたい場所が増え、読みたい本が増え、目にするコンテンツの解像度がぐんと上がった。古典作品を一つ読むだけで、視野が大きく広がっていくのを感じ、私はいつも、わくわくしてしまうのだ。

もし、「古典作品に興味はあるけど、ハードルが高い」と思っている人がいるなら、まずは一冊、関心のありそうなあらすじのものを読んでみてほしい。そしてもしその本が難しかったとしても、負けじとほかの本を試してみてほしい。きっと自分だけのわくわくする作品を見つけられるはずだと、信じています!

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襟田 あいま
食べること・読むことがとにかく好き。食と本にまつわる雑感を日々記録しています。