文学経由で『ジョジョの奇妙な冒険』にドハマりした女。古典文学っぽい作りと魅力的な敵・ディオ

2022年の今になって、『ジョジョの奇妙な冒険』にドハマりしている。令和の、この、今に。なんだこの素晴らしい作品は。なぜ私は今までハマらなかったんだろう。それほどに、愛をもって、どっぷりと沼に浸かっている。

ハマれなかった10年の歴史①:6部から読み始める

私が初めて『ジョジョの奇妙な冒険』に触れたのは、かれこれ10年ほど前。当時、身のまわりで読んでいる人が多く「面白いからぜひ読んでみて」と提案されたのがきっかけだ。

とはいえ、その時点で『ジョジョ』はかなりの巻数が出ていたし、どうやら1部から2部、3部と部に分かれているらしい。めちゃくちゃ読むの大変なのでは……? 怯む私にジョジョ好きは皆言う。「ジョジョはどこから読んでも面白いから」

どこから読んでも面白いのであれば、と帰り道に立ち寄ったコンビニで、たまたま売っていた『ジョジョ』を購入した。6部。空条徐倫の回である。……今思えば本当に変なところから読み始めてしまった。今の私なら絶対1部から読むことを勧める。

私が「6部から読み始めた」というと、これまで「どこから読んでも面白い」と豪語していた人たちが揃って「え、そこから!?」と驚いてくる。どこでもいいって言ったのに!?

結果、話が全くつかめず、全然ハマれなかった。

ハマれなかった10年の歴史②:4部、5部をアニメで観る

その後しばらく触れていなかったが、夫が『ジョジョ』好きであることが発覚し、4部、5部をリアルタイムのアニメで一緒に観た。

じわじわ、『ジョジョ』の良さがわかってくる。まず第一に、キャラクターがかっこいい。どこか変な服を着て変なポーズをとって、変なセリフを言っているのに、なぜかそれがクセになってくる。「~じゃあないか!」の言い回しを、ついつい言いたくなってくる。

そして、スタンドを使った攻防戦もわかってくれば面白い。スタンドが何たるかもようやく理解できてきたし、特に5部はかっこいい(そしてかわいい)スタンドのオンパレード。物語の続きも少し気になってくるし、ハマる人の気持ちもわからなくはない。

しかし、ここでもまだ、ハマっているという感覚はない。家族が観ているから一緒に観ている、というレベル。実際毎週観ていたわけでなく、時間があれば観る、くらいだったのでざっくりとしかわかっていない。

そして1部で沼へ。ディオ・ブランドーと『嵐が丘』

中途半端に4~6部を知って数年後。ネットフリックスでアニメを漁っていると『ジョジョ』が目に留まった。うーん、結局中途半端にしか観ていないし、いっそのこと1部からちゃんと観てみるとするか。そう思ってアニメを最初から観始めた。

ここから驚くほどハマっていく。
なぜなら、ディオ・ブランドーが圧倒的にかっこいいからである!!!!

1部の主人公、ジョナサン・ジョースターの敵であるディオは不遇の環境に生まれ、ある日ジョースター家に養子としてやってくる。

ディオは純粋ですべてを持っているジョナサンをとことんいじめる嫌な奴ではあるのだが、振る舞いやセリフ、見た目にカリスマ的なかっこよさを備えている。

そして、私は気づいてしまった。ディオのモデルはもしや、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』に登場する、ヒースクリフなのでは!?

『嵐が丘』は19世紀イギリスの小説。恋愛小説という面もあるが、復讐と狂気の物語でもある。

ヒースクリフはディオと同じく不遇な環境に生まれ、ヒロイン・キャサリンの暮らす「嵐が丘」に拾われてくる。キャサリンに恋をするものの、彼女は別の男性と結婚することになり、ヒースクリフは復讐に燃えるのである。

1部の舞台がイギリスであること、『嵐が丘』のような物々しい雰囲気があること、さらには親子代々受け継がれていく物語であること(ヒースクリフは子どもの代まで復讐を続けようとする)など、共通点が多い。

もちろん、思い過ごしかもしれない。しかし、文学オタクの私を惹きつけるには十分すぎるほどの設定であった。極めつけはウィリアム・メイクピース・サッカレーの引用の登場。イギリス小説(あるいは作家)をはっきりと取り入れている。

文学オタクの血が騒ぐ作品、それが『ジョジョ』

文学経由というなんともおかしなハマり方をしたわけだが、ここからは早かった。何せ、1部から読み進めればキャラクター同士のつながりがはっきりわかってくるし、ストーリーの面白さもけた違いである。

まさかジョルノ・ジョヴァーナがディオの息子だったとは……最初から観ていたら当たり前にわかる事象もまったくわからずに観ていたのだから、面白さが半減(いや、激減?)しているのも無理はない。

結果、現在6部のアニメを観終わるところまできた。うーん、10年前の私、今はわからないかもしれないけど、徐倫はめちゃくちゃかっこいいです。何せ、あの承太郎の娘ですし!!!!

思い返してみれば、『ジョジョ』のキャラクター、そしてセリフの言い回しややりとりには、どこか純文学っぽさというか、古典文学っぽさがある。話もわかり、キャラクターにもハマってしまえば、この独特の言葉遣いにもどっぷり浸かりたくなる。つまり、沼なのだ……

また、『ジョジョ』はキャラクター名にバンド名を取り入れている印象があったが、それだけではない。作家の名前もあれば、ファッションブランドの名前もあるし、いたるところに関連性があって面白い。

新しいキャラが出てくるたびに、名前の由来を調べてしまっている自分がいる。考察オタクにもありがたい作品……

アニメの続きを待ちたい気持ちもあるが、マンガで先を読みたい気持ちもあって、今絶賛困っている。困って、困って、とりあえずアニメをまた最初から観ようとしている程度には沼に落ちている私なのであった……

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