マキヒロチさんのマンガ『Sketchy(スケッチー)』は、さえない生活を送るアラサー女性・憧子(あこ)が一人のガールズスケーターに心を奪われ、自分もスケボーを始める物語。
正直に言えば私は、スケボーにハマったことはおろか、関心を持ったこともない。ただ、マキヒロチ先生のマンガのファンで、「今回も面白いだろうな」という期待の元に購入したのであった。
そして捲って冒頭、いきなり女性のかっこいいスケボーシーンから始まり、見事に目を奪われた。ちょっと待って。スケボー女子、かなりかっこいいのでは?
アラサースケボー女子誕生! 同世代に勇気をもらう
憧子もまた、最初は全く関心を持っておらず、職場のビデオショップにやってきたスケボー女子を見て「女の子なのにスケボー持ってる」と思うなど、偏見を持っているほど。
ところがある日の夜、ストレスを解消するようにビールを飲みながら歩いていた際、足がもつれて垣根に倒れ込んでしまう。するとなんと、その上をスケボーに乗った女の子が勢いよく飛び越えていったのである。
それ以来、憧子は彼女のことが頭から離れなくなり、次第にスケボーに関心を持ち始める。さらに試しに乗ってみるなどして、ガールズスケーターへの一歩を踏み出していく。

同書の面白いところはやはり、大人の女性が新たに始める趣味が「スケボー」であるというところ。私は憧子と同年代だが、まさかスケボーが、アラサーの女性が踏み出せる分野だとは思いもしなかった。私もまた、バイアスがかかった人間なのである……
しかし、順調にハマり、転んでけがをしても「スケボーって楽しいなぁ」と満足感でいっぱいになっている憧子を見ていると、こちらまで幸せな気持ちになってくる。
大人になってからスケボーを始めたっていいし、当然失敗したっていい。当たり前だけど、年齢を重ねるにつれて何となく忘れていってしまうことを、この作品は思い出させてくれる。
ファッションで見るガールズスケーターの魅力
本作を読んで、スケボーの意外な魅力も知ることができた。それが、ガールズスケーターたちのファッション事情である。
ガールズスケーターたちは、動きやすいパンツスタイルをしているものだと思っていたが、本作品では、スカートを履いている子たちもたくさん見受けられる。
フレアスカートを履いて乗ることで、スカートをはためかせるような可愛らしい演出をしているスケーターもいるようで、激しく飛び回ったりするだけがスケボーじゃないんだなと気づかされる。これまた当たり前だが、楽しみ方だって自由なのだ。

本作は女性の生き方、考え方をリアルに描いた作品でありながらも、「ガールズスケーター」という職業やスケボーというスポーツに焦点を当てている。ゆえに、一見交わりのなさそうなテーマを結び付けたハイブリットマンガだと、私は思う。
今までスケボーに関心がなかった私もかなり関心がわいて、わくわくドキドキしながら彼女たち(憧子以外のガールズスケーターたちも……!)の動向を見守っているのであった。
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