第6巻では、主人公・麻里子の朝食事情に変化が。台湾で偶然出会った高浪さんと付き合うことになったが、高浪さんの夜遅い時間の生活に合わせるにつれ、朝食を楽しむことが難しくなっていく。そしてついに、きみちゃんや菅谷との朝食会にも寝坊してしまう。朝食大好きな麻里子が振り回されるのは、なんだか心苦しくて、ハラハラする。
また、今回もいろんな朝食が登場した。特に興味深かったのは、野外音楽フェス「フジロック」での朝食、そして料理が苦手な人でもつくれる簡単で美味しい朝ごはんのこと。朝食は、本当に自由である。
朝日がまぶしい、フェスの朝食
典ちゃんが東京にいたときに働いていたバーの客・峯田くんは、長年組んでいたバンドを解散することに。メンバーとは半ば喧嘩別れになってしまったため、毎年行っていた「フジロック」にも、一緒に行けなくなった。しかし、行かないのはもったいないと、今年は一人で参戦を決める。
「フジロック」にはテントを張って数日参加する。屋台も出ているので、朝昼晩の食事は屋台の食事で済ませる人も多い。
峯田くんは朝ごはんを、フェス会場内に出店している『苗場食堂』で食べることに。とろろめしに温泉卵、納豆、漬物、味噌汁と、ザ・朝ごはんなメニューを注文し、さらにビールと冷やしきゅうりも頼んだ。朝日が差し込む中で、食べる朝ごはんとビールは格別。仲間と来られず寂しい思いもしてはいるが、美味しい朝食を食べたことで「一人でも俺幸せだわ…」と幸福感に包まれる。
料理がつくれなくても、朝ごはんはつくれる
主人公の女性4人の中でも唯一、家庭を持つ栞。これまでは専業主婦として家庭で働いてきたが、前回から仕事に復帰し、夫の善美さんと共働きになった。今まで家事全般をやってきた栞が働き始めることで、家事がおろそかになり、家庭内で喧嘩が起きてしまう。
そんな折、夫婦関係に悩む善美さんに同僚から、「朝ごはんをつくってみてはどうか?」と提案が。善美さんが家事を少しでも担当できれば、仲直りのきっかけになるという。料理が苦手でも、「最近美味しくて安いスプレッドとかクリームがたくさん出てるからトーストだけ焼いて 野菜とフルーツ切ってミキサーでジュースつくっちゃえばりっぱな朝ごはんになりますよ!」とアドバイスされ、早速つくってみることに。
善美さんはその後、『KALDI』にスプレッドを買いに出かける。ジャムやクリームの多さにびっくりしつつも、「これも美味しそうだ あっこれも試したいなあ~」といつのまにか夢中になり、朝ごはんづくりに前向きになっていく。
次の日の朝食。さまざまなスプレッドをテーブルに並べてトーストを焼き、スムージーをつくって家族に出してみると、美味しそうに食べる子どもたち。「簡単なものだったら僕にも作れそうだし、これから朝ごはんは僕が作るよ」という善美さんに、心配しつつも「ありがとう」と笑う栞。朝ごはんが家族の中を深めるきっかけになったようだった。
朝は多くの人が忙しい時間帯だし、夜に比べると、わざわざ外食する人も少ない。おそらく、朝外食する余裕がないということもあるだろう。そんななかで、料理が苦手でも忙しくても、トーストしてジャムを塗るくらいなら難しくない。いろいろスプレッドを並べてバイキングみたいにするのも楽しそうだ。
麻里子の展開にはハラハラしてしまったが、どのキャラクターも朝ごはんで前向きになりながら、自分の人生と向き合っている。第6巻も、やっぱり面白かった。
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