登場人物たちがそれぞれの門出を迎えた『いつかティファニーで朝食を』⑫。主人公の麻里ちゃんが仕事を辞めて心機一転するほか、ニューヨークに住む典ちゃん、典ちゃんの友人・さちにも変化が。
自分の気持ちを整理したり、誰かに自分の気持ちを伝えたり……今回も朝食は、彼女たちの節目を支えてくれていた。
ついにタイトルのNYティファニーへ!
タイトルにも含まれている『ティファニーで朝食を』は、オードリー・ヘップバーン主演、トルーマン・カポーティ原作の映画。
オードリー演じるホリーがニューヨークの「ティファニー」の店舗前でデニッシュをかじるシーンは有名で、本作『いつかティファニーで朝食を』の主人公・麻里ちゃんの大好きなシーンでもある。
そんな麻里ちゃんが、ニューヨークで留学中の典ちゃんを訪れ、ついにシーンの舞台となった「ティファニー」へ。残念ながらデニッシュをかじることは叶わないが、憧れの舞台にたどり着いた瞬間は印象的だ。
ああ、すごい来ちゃった…
『いつかティファニーで朝食を』⑫
あそこのウインドウの前で ホリーがデニッシュをかじってたんだ
私の大好きなシーン
大好きだけど、夢の中の話だと思ってた
でも今 私の目の前にある
一歩踏み出せば 夢は現実になるんだ
駅ビルで、ファミレスで……大型店の朝食
同作品に登場する飲食店は個人店が多いが、今回は駅ビル内の店舗やファミレスなど馴染みある大型店も登場した。
麻里ちゃんの同僚・きみちゃんが会社を辞めて地元に帰ることになり、別れ際に二人は「新宿ニュウマン」で朝食。朝から開店しているベーカリーやビアバルもあるようだが、今回は『SUSHI TOKYO TEN、』へ。
こちらでは酢飯にたっぷりの海鮮がのった「すしまぶし」を朝から楽しむことができる。すしまぶしはそのまま食べても美味しいが、お茶漬けにすることもできるそうだ。
麻里ちゃん「松前漬がアイナメやマグロにからみ合ってよく合う~!!」
『いつかティファニーで朝食を』⑫
きみちゃん「いや~これヤバイですね~ 私はしける前にのりでくるんで食べよーっ」
お腹いっぱいになった二人は、高速バスの駅でお別れ。「次は麻里子さんですね」とエールを送って去っていくきみちゃんはかっこいい。

また、ニューヨークで典ちゃんと友人になったさちは、ニューヨークに来る前のことに思いを馳せていた。
仕事仲間にも家族にも頼られ、自分のことを優先できていなかったさちだったが、母と思い出のファミレス『Royal Host』にて朝食を食べながら、「ほんの少しでいいから自分の為に生きてみたい」と初めて自分の思いを打ち明ける。
朝食は「オーソドックスでこれぞロイホの朝食ってかんじ」とさち。
イングリッシュマフィンも好きだけど 山型パンも好きなんだよね
『いつかティファニーで朝食を』⑫
アツアツでモチモチだ
スクランブルエッグをたっぷりのっけて いただきまーす
オリジナリティあふれるメニューを見るのも楽しいが、ファミレスで食べるベーシックな朝食もいい。また、思い出の懐かしい味を食べている瞬間だからこそ、さちも自分の素直な気持ちを言えたのかもしれないと感じた。
ダシ粉とからしで楽しむ静岡おでん
麻里ちゃんの出張最後の朝ごはんは、静岡おでんを食べられる『おにぎりのまるしま』(2020年12月閉店)。朝の6時半から営業しており、朝食セットはなんと300円(同作連載時)!おでんには、ダシ粉とからしをつけるのが静岡おでんなのだそうだ。また、黒はんぺんも特徴。
普段食べてるはんぺんと全然違う!!
『いつかティファニーで朝食を』⑫
ちょっとザラッとしたさつまあげってかんじ?
美味し~~~!
同店は閉店してしまっており、現在は行くことができないが、静岡おでんは私もまだ食べたことがない。コロナ禍が落ち着いたらぜひ、現地で食べてみたいものである。
12巻は登場人物たちがどんどん自分の道を進んでいっていて、物語も佳境に入ってきた気がする。朝食ももちろんのこと、揺れ動く彼女たちの人生とその向き合い方もやはり見どころで、毎度一喜一憂しながら読んでいるのだった。
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