1巻から引き続き、意外な戦略で「ジャイアント・キリング」を起こしていく弱小サッカーチーム「ETU」。2巻もまっすぐな努力だけが成功の道でないことをひしひしと伝えてきて、耳が痛いやら感心するやら、せわしない。
本当に、ただのサッカーマンガじゃない。正直、読んでいて「これはビジネス書か?」などと思ってしまうときがある。
メンタルの弱さをどう克服するか
2巻でいちばん印象的だったのは、若手選手・椿くんのメンタルの話であった。
椿くんは期待の若手新人として推薦され、ETUに入ってきた……は、いいが、ふだんの練習ではなかなかいいところを見せられずにいる。焦ってミスをしたり簡単にボールを取られたりしてしまい、「なんでアイツが?」と思われることもしばしば。
本当は素晴らしい才能の持ち主なのだが、どうにもメンタルが弱いのである。
監督に見られていると「一番いいプレーを!!」と力み過ぎてゴールを外すし、「落ち着け、落ち着け」と心の中で唱えても効果はない。逆に、余計に気負ってしまう。

私もメンタル弱々なので、椿くんの気持ちは痛いほどわかる。スポーツ選手であればなおさら、メンタルの強さが必要になるだろうし、読んでいて苦しい場面でもあった。特に、彼が思いを吐露する瞬間は涙腺が緩む。
変わりたいんス
『GIANT KILLING』②
嫌なんです 自分のことが昔から……
情けなくて…………自分で自分に腹が立って 悔しくて……
そんな椿くんが自分を取り戻し、強くなっていく姿は、見ていて胸が熱い。
弱いメンタルを完全に変えることはできたのか、具体的に何をして変化し、強くなっていったのかといったところは本編を読んでもらいたいが、個人的には腑に落ちる展開というか、「そういうこともあるなあ」と頷いた。
自分と向き合う方法は人それぞれ
心の在りようは、すぐに変えられない。人間の脳はそれぞれに特性があって、緊張すればするほど力を発揮できるタイプもいれば、椿くんのように空回りしてしまう人間もいる。ただ、重要なのは自分の特性を知り、向き合う術を身につけることなのかもしれない。
そして、その最適な向き合い方もまた、それぞれで異なる。自分で何とかできるタイプの人もいれば、誰かに頼ることで強くなれる人もいるわけで……自分らしいやり方を、探す必要があるのだろう。
椿くんは、自分で自分をコントロールできないから苦しんでいる。でもそんな彼にも、突破口はあるのだ。私はその点で言うと椿くんとはタイプが異なるが、勇気を貰える展開だった。
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