弱小サッカーチーム「ETU」の逆転劇を描くマンガ『GIANT KILLING』。弱者が強者を倒すことを意味する「ジャイアント・キリング」がタイトルになっており、弱かったチームが鍛えて鍛えて強くなっていくのかな、と思いきや、意外な戦略を組んで戦っていくさまが面白い。
若手がベテランを倒す「ジャイアント・キリング」
物語は、元「ETU」のエース・達海が戻ってきて、監督に就任するところから始まる。達海は各メンバーの長所を見つけ出し、適材適所に配置し直すだけでなく、敵チームの弱点をしっかりリサーチし、そこを確実につく。
彼の戦略は、始めは特に、ベテラン選手から認めてもらえない。わかりやすいまっすぐな努力とは、真反対の方法だからだ。
例えば1巻では、達海が恣意的に選んだ若手選手と、レギュラー陣の練習試合がある。
若手は皆、「先輩たちに勝てるわけがない」と怯む。しかし、達海はこう言って彼らを奮い立たせる。
やる前からひるんでどうすんだ
『GIANT KILLING』① p.123
試合前に有利も不利もねぇ
スコアは常に0-0から!
誰に対しても平等だ
一方ベテランチームの村越は「経験と技術じゃこっちが上」といい、ETUを支えてきた意地と誇りにかけて戦うが、達海率いる若手の戦略に押され、ショックを受ける。この試合では、経験も技術も通用しなかった。
基礎に加え、応用を身につける重要性
まっすぐな努力を重ねてきた村越の、「自分のすべてをETUに懸けてきたんだ!!」というセリフは胸に刺さる。それと同時に、変わらない努力だけが正解というわけではないんだなと思い知らされる。
体を鍛える、技術を磨くといった基礎の確立、これ自体はかなり重要だと思う。しかし、ひたすらに地盤を固め続ければ勝てるのかと言われれば、それは違う。達海のようにリサーチを行い、適切な戦法を見出すことも重要なのだ。
『GIANT KILLING』はサッカーの話ではあるが、考え方はほかのスポーツはもちろん、仕事などにも役立つなと感じた。経験値とともに、テクニックや知識を身につける大切さが染みる。
ETUは強者を倒す「ジャイアント・キリング」を起こせるのか、楽しみである。
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