小泉信三『読書論』。古典を読む重要性、アウトプットの大切さ、彼を惹きつけた名著の数々

読書とは本を読むことではあるが、実際はそれ以外にもいろんな意味をはらんでいるように、私は思う。読むだけでなく、そこから何かを感じ取ったり、学びを得たり……つまり、本を読むことから得られる体験すべてを指すのではないか。

小泉信三の『読書論』は彼の読書に関する一家言をまとめたものである。これから読書を極めていこうとする人も、もともと読書好きの人も、面白く読めるのではと感じる。

古典を手に取ることの大切さ

子どもの頃から読書好きだったから、何をどう読むなど考えもせず、好きな本をひたすら読み続けて生きてきた。ある程度「私の読書はこんな感じだな」と体系づけられてきたのは、おそらく大学生の頃。古典をしっかりと読むようになってきてからかもしれない。

本書でもまず、「一般方針として私は心がけて古典的名著を読むことを勧めたい」(p.5)と話す小泉氏。ただし、この場合の古典は古いものだけに限らない。英語で古典を指す「classic」は、「第一流の標準的なもの」も指すといい、その意味での古典を薦めているのである。

標準的なものを読む。ちょっと当たり前っぽく聞こえるが「人は意外に古典的名著を読まない」と書かれていて笑ってしまう。確かにそう……私もできるだけ読んでいるものの、読んでない本がたっぷりある……

とはいえ、古典はハードルが高いと感じる人も多い。「よくわかる」とか「マンガで読める」のようなわかりやすい二次、三次的な本で理解しようとすることもあるだろう。

それでは、本来得られる読書の利益が得られない。難しいかもしれないが、とりあえず読む、根気強く繰り返し読むことを本書は薦めている。

進んで先きを読んでいる中に、前に難解と思った語句や章節の意味が自然に会得されることは、非常にしばしばあるものである。要するに書籍を征服するとか、或いは我が物にするとかということは、結局ドシドシ読み進むことによって達せられる。

『読書論』小泉信三 p.24

これぞ、古典の醍醐味だよなあとじんわり。古典には身のまわりにはない言葉や考え方があったりする。あるいは多様な国な地域の歴史的背景・文化的背景を学ぶことにも繋がることがある。

それらは最初は難解かもしれないが、根気強く学ぶことで自分に身についていく。そのときの視野の広がりと達成感は、最高以外の何物でもないのである。

読むだけで終わらない、アウトプットが重要

このほか本書では、読むだけに終わらず、アウトプットの重要性も綴っている。読んだ後に誰かに話してみたり、読書会を開いてみたり。あるいは、気になる箇所にアンダーラインを引いたり、感想や批評等の書き込みをしたり……

「読書は大切であるが、それと共に自分の目で見、自分の頭で考える観察思考の力を養うことが更に大切である」というのが、小泉氏の考え方。読書ばかりに偏ることは、他人の考えばかりに頼ることにも繋がってしまう。

間断なく読書に耽り、書籍にばかり依頼する余り、ただ偏えに書中の記載を信じて、自分の目で見たものは重んぜず、本に書いてあることのみを信用して、だんだん自分の目で物を見ることが億劫になり、知識をただ書籍にのみ求め、或いは自分で考えずに、著者に代って考えて貰うことの易きに就く習性が、とかく養われ勝ちであることこれである。

『読書論』小泉信三 p.66

これにはかなり共感している。読書は読むことを楽しむものであるから、当然そこを重要視したい。しかし、アウトプットはより理解を深めてくれるし、楽しみ方を広げてくれると思う。

アウトプットのやりかたは人それぞれ。先述の方法もあるし、私はちなみに、読書メーターに登録するか、このブログに感想をまとめるようにしている。言語化することで脳内が整理され、本から学んだことや考えたことがはっきりとわかるからである。

前は読みっぱなしもあったのだが、これは身になっていないことがよくわかってショックだった。言葉にまとめられなくても、友達や家族に話したりして自分の考えをまとめることを習慣にしている。

小泉信三を惹きつけた名著とは?

では、読書家の小泉氏が読んでいた本はどんなものだったんだろう。それについても本書はしっかりと解説されている。例えば、トルストイの『戦争と平和』

今日までに私の読んだ大小様々の本の中、私をひきつけまた圧倒したものは何々かというとき、私はぜひとも「戦争と平和」を挙げなくてはならぬ。他のところで私は、大著を読みおえると自分が別人になったような気がすると書いたが、それは正しく「戦争と平和」を読みおえたときの自分の体験を語るものに外ならぬ。

『読書論』小泉信三 p.160

……恥ずかしながら、私は未読です……トルストイなら、『アンナ・カレーニナ』が好きだ! しかし、そこまで言うならぜひ読んでおきたいところ。

あるいは『風と共に去りぬ』は「アメリカ人の書いたもので私が読んだ最初の大作」(p.162)だそうで、「驚きを以て読んだともいい得るのは『盲目物語』」(谷崎潤一郎)(p.170)、同時代に生きる作家で押す人物は「志賀直哉」(p.171)など、ほかにもたくさんの作家に触れている。

私は上記が特に印象に残ったが、本書はこれ以外にも「読書」について多角的に語っており、琴線に触れる箇所は人によって大いに異なるのではと察する。

これを読み終えた読書好きの人と話してみるのも面白そう!

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