語源をたずねると、「ことば」が身近になる。語義の変化を知ると、「ことば」の豊かさを実感する。
『ことばの道草』
ふらっと立ち寄った古本屋さんで見つけた『ことばの道草』。岩波書店辞典編集部が編集した本で、『広辞苑』から集めたさまざまな言葉にまつわるエピソードが掲載されている。
言葉に関係している本に弱い。しかも岩波書店で辞典を編集している皆さん=言葉のプロたちが集めた言葉とエピソードだからこそ「いったいどんな内容なんだ?」と気になってしまい、タイトルを見てすぐさま購入した。
本書で初めて出合った言葉たち
この本を見るまで知らなかったけれど、初めて知っていいなあと思った言葉たち。
月下氷人
結婚の仲人を指す。もともとは「月下老人」、「氷人」という2つとも仲人を指す言葉が、合体したらしい。漢字の並びが美しい。
白波・白浪
さも美しい何かを示していそうだが、なんと「泥棒」を指す言葉なのだとか。もとは『後漢書』に記されているというのだから、歴史が深い。歌舞伎でも使われているそうだ。「白浪物」は「鼠小僧」などの泥棒や盗賊が主人公の作品を呼ぶのだという。
山笑う
「木々がいっせいに芽吹きはじめ、いかにもはなやかな春の山の趣をいう」そう。山が笑って見えるからだろうか。
意味を改めて学び直した言葉たち
普段結構使っているのに、意外とその由来を知らないことも多い。改めていいなあと感じた言葉たち。
けんもほろろ
恥ずかしながら、何となく「剣もほろろ」だと思っていた……まるで剣もほろほろと崩れてしまうように……などと……「けん」と「ほろろ」はなんと雉の鳴き声らしい。何故、雉?
どろん
どろんする、なんてことばはちょっと古い気もするけれど、歌舞伎が由来とのこと。幽霊や妖術使いなどが出てくるときに、太鼓をどろどろどろ~っと打つところからきているらしい。太鼓の音だと思うと納得。
さわり
曲の出だしではなく、曲のきかせどころを指す単語。「じゃあさわりだけ……」なんで話しているときは、確かに要点を指している。それでも曲のさわりと聞くと、なんとなく出だしを想像してしまうのは何故だろう?
ほかにもラムネはレモネードがなまった言葉など、日本語の由来や秘密がたっぷり載っていて、面白かった。今まで使ったことない言葉も、いつかどこかで使えるといいなあ。
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