大人も楽しい「絵本」のすすめ。イラストが美しい、癒される……お気に入りの絵本たち

子どもの頃から絵本が好きだったが、大人になって改めて読んでみると、違った視点で魅力を感じる。童心に戻って楽しめるのはもちろん、子どもの頃にはわからなかったことが理解できたり、イラストの美しさにより感動したり……絵本って面白い。お気に入りの本たちをまとめてみる。

ロンドン・ジャングルブック

インドのゴンド族であり画家のバッジュ・シャームが、ロンドンのレストランの壁に絵を描くために初めて飛行機に乗り、ロンドンへ向かったときの様子が綴られている。

掲載されているイラストはカラフルな色使いと線画で構成されており、かなり個性的。バッジュ・シャームの独特な世界観はもちろん、ゴンド族の文化も相まって、見たことのないユニークな仕上がりになっている。

特に初めてロンドンに行くことが決まったときの複雑な心境を表した絵が好き。「じぶんの世界を去る?」というコメントとともに、自分を故郷に根付かせている家族や家や、ゴンド族にとって大切なものを自分の髪に結び付けて表現している。

また、ロンドンのレストランでは見たことのない料理ばかりだったために、わけがわからず片っ端から食べる様子を「タコになったじぶん」として表現し、「何の肉を食べたのかわからなかったので、食べたかもしれないものを全部描いた」(p.26)というのには笑ってしまった。絵には「その生き物はなさそうだけど……」と思われるものも描かれている。

文化の違いにもたくさん触れられていた。一番心に残ったのは、ロンドンとインドにおける仕事の在り方の違いである。バッジュはロンドンの人々が「どんな職業であったとしても、みんなが誇りを持って働いていたということ」(p.34)を気に入ったといい、「インドでは、一日中働いたとしても腹を満たすことはできないままだ」(p.34)と綴る。職業選択の自由があるからやりがいや誇りもある。しかし、それを彼の暮らす街でそれを得るのは難しいだろうと胸が苦しくなった。

よるのあいだに…

夜に働く人たちにスポットライトを当てた絵本。小さい子どもたちはきっと、「自分の眠っている間にも働いている人がいる」という新鮮な視点を得られるだろうし、私のような大人は「本当にそうだよ、いつもありがとうございます」と改めて感謝をしたくなる。副題の「みんなをささえる はたらく人たち」という言葉も、じんわりと沁みる。

「夜に働く人々」と聞いて私が想像しうる職業は、例えば工事現場の方々や、警備員の方々。昼間に過ごす人たちが円滑に暮らせるよう、夜の人が少ない時間にできることをしてくれているイメージがある。あるいはコンビニやファミレス、飲食店の店員さんも思い浮かぶ。

本書を読んでいると、本当にさまざまな人が支えてくれているなと感じる。朝に営業している店だって夜中に仕込みをしていることもあるし、病院のスタッフのように、いつ誰が来てもいいように準備をしている人たちもいる。夜中に赤ちゃんの世話をする両親のことも綴られていて、子守もまた、「はたらく」の一つだと実感。世間はどうしても昼を中心に考えてしまうけれど、そんなことはない。昼であろうと夜であろうと、皆がそれぞれの役割を全うしているという当たり前のことを、再認識させてくれる。

また、ストーリーは夕方から夜、明け方にかけて進んでいく。その様子が、空や街の色のグラデーションとともに描かれており、何とも美しい。幻想的な雰囲気を作り出している。これは絵本だからこそ、表現できることだ。

ポテトスープが大好きな猫

テキサスに暮らすぶっきらぼうなおじいさんと、マイペースな猫の物語。二人はコミュニケーションを多く取るわけではないけれど、おじいさんは猫のことを気に入っているし(ただし、そんなそぶりはほとんど見せない)、猫はおじいさんの作るポテトスープが好物である。

ある日、ちょっとしたことがきっかけで、行き違いが生じてしまうのだけれど……ふたりのそっけなくも愛のあるやりとりにほっこりする。「お前は今のお前のままでいいんだからさ」と猫に語り掛けるおじいさんが好きだ。

絵本は子どもたちにとって大切な存在だが、大人もまた、その世界観に助けられることがある。心が落ち着かないときは、好きな絵本のページを開こうと思う。

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mae
食べること・読むことがとにかく好き。食と本にまつわる雑感を日々記録しています。