コロナ禍を経て、夜中に出歩くことが極端に減った。昼間が私の暮らしの中心にあり、夜は眠り、休みの時間となっている。しかし、私が眠っている間にも、世の中を支えてくれる人たちがいることを、忘れたくはない。24時間365日、誰かが働いて、世の中をまわし続けてくれているのである。
絵本『よるのあいだに…』は、夜に働く人たちにスポットライトを当てた絵本だ。小さい子どもたちはきっと、「自分の眠っている間にも働いている人がいる」という新鮮な視点を得られるだろうし、私のような大人は「本当にそうだよ、いつもありがとうございます」と改めて感謝をしたくなる。副題の「みんなをささえる はたらく人たち」という言葉も、じんわりと沁みる。
夜の仕事はさまざまに
「夜に働く人々」と聞いて私が想像しうる職業は、例えば工事現場の方々や、警備員の方々。昼間に過ごす人たちが円滑に暮らせるよう、夜の人が少ない時間にできることをしてくれているイメージがある。あるいはコンビニやファミレス、飲食店の店員さんも思い浮かぶ。
ただ、本書を読んでいると、本当にさまざまな人が支えてくれているなと感じる。朝に営業している店だって夜中に仕込みをしていることもあるし、病院のスタッフのように、いつ誰が来てもいいように準備をしている人たちもいる。夜中に赤ちゃんの世話をする両親のことも綴られていて、確かにそうだと思った。子守もまた、「はたらく」の一つだろう。
世間はどうしても昼を中心に考えてしまうけれど、そんなことはない。昼であろうと夜であろうと、皆がそれぞれの役割を全うしているという当たり前のことを、再認識させてくれる。
夜中から明け方にかけての、美しい景色たち
ストーリーは夕方から夜、そして明け方にかけて進んでいく。そしてその様子が、空や街の色のグラデーションとともに描かれており、何とも美しい。幻想的な雰囲気を作り出している。これは絵本だからこそ、表現できることだ。
話自体も、折に触れて読み返したいものであったが、私は何より、このイラストが本当に素敵だと思った。たくさんの人たちの夜、明け方の様子は楽し気で、それでありながら夜特有の儚さ、静けさのようなものを伴っている。絵を眺めるだけでも癒される……
メッセージ性もイラストも大好きになってしまい、これは手元に置いておきたい一冊。
コメントを残す