私たちはバーにただお酒を飲みに行っていたんじゃない。その「時間」と「空間」を楽しんでいたのだ

新型コロナウイルスの影響は続いている。飲食店は休業を決めるところもあれば、政府の指示に従って時間を短縮して営業するところ、テイクアウト・デリバリーのみの営業に転向するところなど、それぞれの対応を行っている。

しかし、一飲食店が自分たちでできる対策にはやはり限界がある。悲しいけれど、閉業を余儀なくされている店も増えているのが事実なのだ。

続々と閉店する飲食店。誰にも止められない惨状

知人が店を閉めると聞いた。SNSでは「閉店します」の報告が次々と流れていく。小さな店舗から、「あそこは大丈夫だろう」と誰しもが思っていた人気店まで。老舗の店舗も、予定より早い閉業を決めたりしている。

この惨状の、あまりの辛さに泣いてしまった。仕事柄、飲食業の皆さんにお世話になっている。そして私の実家も、飲食店を経営している。自分がかかわっている業界が大変なことになってしまい、どうしようもない無力感に駆られた。

テイクアウトでは、バーは救われない

飲食店の多くが、今をどうにかしようと必死に闘っている。その対策の一つが、メディアでも大きく取り上げられている「テイクアウト」「デリバリー」「通販」などの活用である。

しかし、これらはあくまで「食事」を提供するサービス。食事をメインにサービスしている飲食店は可能であるが(とはいえ、イートインに比べれば利益もかなり少ない)、お酒をメインに提供しているバーなどではなかなか難しい。

バーで過ごす時間を、私たちは楽しんでいた

バーは、お酒と「そこで過ごす時間や空間」を提供してくれる。まさに、オフラインならではの場所。プロが作ってくれた美味しいお酒を飲みながら、思い思いの時間を過ごす。

マスターやスタッフの方々と会話を楽しむ人もいるだろう。何にせよ、そこでしか味わえない体験を作り出しているのである。

私たちはバーにただ、お酒を飲みに行っているわけではない。そのお店が提供してくれる時間、場所、雰囲気、すべてを楽しみに行っている。そのことを改めて痛感している。

かと言って、気軽に飲みに行って貢献できるわけでもない。もし自分が新型コロナウイルスの菌を持っていたら……? そう考えると、外出自粛を守るしかない。絶対に、好きなお店をクラスターにするわけにはいかない。

私にできることは何か。毎日考えているが、結局無力である。せめて私が書いた記事の情報が、飲食店の方々に役立っていてほしいと願うばかりだ。