「パン」を楽しむための個人的参考書。食事におやつに、おつまみに……美味しく食べる方法と名店たち

朝ご飯は何となく、パンが多い。出先で美味しいパン屋を見つけたら、「明日の朝ごはんにしよう」とわくわくしながらパンを買っている。そう思うと私は、どうやら結構パンが好きらしい。

パンにまつわる情報収集も好きで、いろんな本や雑誌を参考にしてきた。

コッペパンの本

コッペパン。名前を聞くだけでノスタルジーを感じる。子どもの頃から何百回と食べてきたであろうそれは、今もなお、個人的に好きなパンランキングの上位に君臨している。

『コッペパンの本』は、全国に散らばるコッペパンの名店を取材し、各店の開業の経緯やメニュー開発の想い、商品の特徴などを細かに紹介している。知っている店も知らない店もあり、実に個性豊かな名店を知ることができた。

伺ったことのある店で言えば、亀有の『吉田パン』。初めて「コッペパン専門店」という存在を知ったのが同店だった。ふっくらとした丸いパンに、実にさまざまな具材が詰まっている。あんこやカスタードの甘い系からポテトサラダややきそばなどのおかず系までバラエティ豊富。

本書によれば『吉田パン』は岩手・盛岡の『福田パン』から派生しているらしい。こちらは伺ったことがないが、「コッペパンのイメージをそのまま具現化したような存在」と記載されており、特に定番メニューの「あんバター」の記述は魅力的であった。

まず、全員、開口一番「あんバター“と”」。とりあえずビールならぬ、とりあえずあんバター。その中のひとりは「あんバターと、キーマカレーと……あとなにか甘い系、クッキークリームと……私、あんバターって言いましたっけ?」
あんバターを注文することはあまりにも当たり前すぎて、もうその名を口にしたかしないかを忘れてしまう。けれど決して買い逃したくない、ということか。

『コッペパンの本』p.11

食パンをもっとおいしくする99の魔法

高級食パンが登場し、食パンブームが訪れてから久しい。使う小麦や焼き加減などがさまざまに語られる中、食パンアレンジもまた、多様になってきている印象がある。パンラボ池田浩明さん著『食パンをもっとおいしくする99の魔法』では、99通りの食パンアレンジ方法が掲載されていた。

輪切りにしたトマトをパンの上に並べて焼く「トマトタルティーヌ」、オランジェットを思わせる「チョコとマーマレード」、田楽感覚になるという「みそバター」、かぼちゃをペースト状にし、バターやアールグレイ、きび糖を混ぜる「かぼちゃペースト」……多様なアレンジ方法を見ていると、食パンは無限に楽しめるものなんだなと痛感する。凝ったものはもちろん、ほんの数分で出来るものもたくさんあって嬉しい。

いつかティファニーで朝食を 第8巻

アラサー女性4人の人間模様を描きつつ、実在する美味しい朝食のお店を紹介してくれるマンガ『いつかティファニーで朝食を』。「朝食」がテーマということでベーカリーもよく登場しているが、特に8巻は多く、名店がたっぷり掲載されている。

例えば、主人公の麻里子が向かった『365日』は、イートインでは朝ごはんメニューを楽しめる。さらに魅力的なポイントが、朝からお酒も楽しめること。本作ではクロックマダムと白ワインを注文していた。

さらに、麻里子の友人・栞と息子のユイトは、京都のベーグル専門店『Radio Bagel』へ。ベーグルだけでもかなりの種類があるが、加えて挟む具材を選べるサービスもあるようだ。組み合わせを自分で選ぶ過程も楽しそうだった。

食べている様子はイートインだけでなく、公園や駅の中、川沿いを歩きながらパンに齧りつくような、雑多に朝ごはんを楽しむシーンがたくさんあったのも良かった。こうした食べ方ができることもまた、パンの魅力の一つだろう。

「パン」はお手軽で、身近で、私の場合は毎日そこにある、もはや“当たり前”な食品である。しかしながら、よくよく調べてみれば日々変化しているし、新商品が生まれ続けているし、目が離せない存在でもある。これからもきっと、美味しそうなパン屋を見つけたら、自然と身体が吸い込まれていくのだろう……

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襟田 あいま
食べること・読むことがとにかく好き。食と本にまつわる雑感を日々記録しています。