沖縄の饅頭「きっぱん」とは何か――『おいしい沖縄』向田邦子さんエッセイ

『おいしい沖縄』に掲載されていた向田邦子さんのエッセイ「沖縄胃袋旅行」にて、「きっぱん」というお菓子を見かけた。向田さんが子どもの頃に食べた、懐かしのおやつなのだという。

本書によるとそれは「平べったい大き目の饅頭で、まわりは白い砂糖がけ、アンは細く切った果物の砂糖漬」で「猛烈に甘くほろ苦かった」(p.13)とのこと。

沖縄のお菓子については結構知っている方だと思っていたが、これは初耳。沖縄出身の夫も「聞いたことがない」とのことで、気になりまくっている。

さらにエッセイを読み進めると、もうほとんどの店で作っていないもので、かなりレアになっているとあり、ますます気になる。

実際調べてみると、『銘菓継承 謝花きっぱん店』を見つけた。なんと今はここでしか作られていないとのこと。向田さんが訪問したのも同店のようである。

ホテルまで待ち切れず、タクシーの中で開き、端を折って食べてみた。物凄く甘くほろ苦い。昔と同じ味である。四十年の歳月はいっぺんんい消し飛んで、弟や妹と若かった父のまわりに目白押しにならび、茶色の皮のカバンから手品のように出てくる沖縄土産を待つ十二歳の女の子にもどっていた。

『おいしい沖縄』「沖縄胃袋旅行」p.27

次の沖縄訪問はぜひ、きっぱんを買いに行こう。この味を私も体験してみたい。

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襟田 あいま
食べること・読むことがとにかく好き。食と本にまつわる雑感を日々記録しています。