御重の可能性は無限大。日本の食文化がより多様性を見せるとき

以前、食のイベントに出席した際、とある外国人シェフが「御重」に料理を盛りつけていた。入っているおかずが和食でないことも、余白を持たせながら盛り付けていることも新鮮であった。

よく考えてみると、何も“和食をめいっぱい詰めなくてはいけない”というルールはない。フレンチだってイタリアンだって詰めていいのである。

今まで馴染みがありすぎて、御重で何ができるかなんて考えたことがなかった。しかし、何段にもわたって料理を詰められ、多様な顔を表現できる御重はまさに、無限の可能性があるのではないだろうか。今一度、御重の魅力について考えてみた。

日本国内で食べられる御重料理とは?

御重を使った代表的な料理といえば、「おせち」。そのほか、盆や行事、冠婚葬祭などにも使われる印象がある。我が家は運動会などの学校のイベントでお昼が必要な際にも、御重を使っていた。

おせちであれば、定番のおかずを入れるのみだが、運動会の場合は唐揚げやポテト、サラダ、おにぎり、フルーツやゼリーなどのデザートも入り、まさにフルコースとなる。

また、複数人で食べるとは限らない。徳島では、「遊山箱」と呼ばれる御重を使った料理(お弁当)がある。春の節句の時期に子どもたちが一人一人、遊山箱に郷土料理やういろうなどのご馳走をたっぷりと入れて、山や海へ出かけるのだという。

大人数で食べるおせちなどとは異なるが、立派な一人分の御重料理だ。こちらもおかずやごはん、お菓子と一通りの食事が入れられている。

こうしてみると、国内でもいろんな使われ方をしていることがよくわかる。イベントごとであれば洋食を入れることもあるし、外国料理が入っていても何ら不思議ではない。

世界の食でつくる新たな可能性

御重は、持ち運ぶことを目的に作られている一面もあるだろうけれど、持ち運ばずに器として活用することも十分に可能だ。枠が大きくて何段もあるから、それぞれに多様な料理を入れて、一つのコースを表現することもできる。

私が見かけたシェフのように、一段目に前菜、二段目に魚料理、三段目に肉料理、などとしても良いわけであるし、それぞれの段に別の国の料理を入れても楽しいかもしれない。

日本の文化が世界の食と組み合わさって新たな可能性を作り出しているのは、本当に素敵なことである。今度我が家でホームパーティをする際には、御重を使って何かしてみるのも良いかも、と企んでいるのだった。

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襟田 あいま
食べること・読むことがとにかく好き。食と本にまつわる雑感を日々記録しています。