『パレード』川上弘美。目に見えないものが映し出す世界のこと
私は目に見えないものを信じられない質である。しかし、本の世界に飛び込むといつのまにか、「いや、そういう存在もいるかもしれないな」とついつい思ってしまう。私もいたのだろうか、『パレード』に登場する天狗のような存在が。 子ど...
私は目に見えないものを信じられない質である。しかし、本の世界に飛び込むといつのまにか、「いや、そういう存在もいるかもしれないな」とついつい思ってしまう。私もいたのだろうか、『パレード』に登場する天狗のような存在が。 子ど...
昔ながらの知恵には、意外と新しい発見も多いものである。 『エプロンメモ よりぬき集』は、『暮しの手帖』の連載「エプロンメモ」から、暮らしの知恵を選りすぐって掲載した一冊。70年近く前からの知恵なので、今となっては当たり前...
日々、私たちは言葉を使う。しかし、当たり前にある存在だからこそ、言葉について熱心に考える人は少ないのではないだろうか。 『ものするひと』の主人公・スギウラさんは純文学の小説家。警備のアルバイトをしながら文章を書いている。...
『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』は、小学生のかのこちゃんとその飼い猫・マドレーヌ夫人の物語。子どもの視点と猫の視点が交互に現れ、不思議で愉快な世界観を繰り広げている。 笑ったり、ふむふむと感心したり、しまいには目頭が熱く...
偶然「ウィンダミア卿夫人の扇」を読む機会があり、初めてオスカー・ワイルドの劇作品に触れた。その後、同時収録されている「サロメ」「まじめが肝心」を読み、見事にその面白さに取りつかれた。 特に喜劇。ワイルドに喜劇作品があるな...
片岡義男さんのエッセイ『洋食屋から歩いて5分』では、食にまつわるエピソードが多数登場する。食そのものについてはもちろん、飲食店での思い出もたくさん。 中には何十年越しに再訪したという話もあり、時が流れても変わらない店や人...
料理に苦手意識がある人は多い。ほかの家事に比べてハードルが高い作業に思えるし、以前に失敗したことがある人や、恥をかいたことがある人であればなおさら、「自分にはできない」と感じてしまいがちかもしれない。 あるいは、忙しくて...
絵画を見ることが好きで、美術館に出かけることも多い。しかし、いつも気ままに眺めているだけで、何か目的を持って見たことはなかった。 そんなとき、読書記録をしている「読書メーター」にて『観察力を磨く 名画読解』を見つけた。ど...
『夏雪ランデブー』はずいぶん前に、表紙に一目ぼれして買った。緑や花が生い茂るイラストが綺麗で、特にあらすじも知らないままに。でも、私の目に狂いはなかった。今でもずっと、大好きな作品の一つとなっている。 久しぶりに読んだら...
『海に住む少女』を読んでいるとき、ずっとふわふわとどこかをさまよっているような気分だった。とにかく世界観がとても不思議なのである。生きているもの、死んでしまったもの、人間、動物、概念までもが登場し、優しい文章で綴られてい...