ここ数年、一風変わったペアリングをよく見かけるようになった。中華にワイン、イタリアンに日本酒、フレンチとお茶……組み合わせは無限大である。
ペアリングについて考えるとき、学生時代を思い出す。ワインショップでアルバイトをしていた際、あるお客さんに「カレーに合うワインってある?」と聞かれたことがあった。たぶん、「そんなワインないでしょ」というニュアンスも含まれた意地悪な質問だった。
そのときは自分がいいと思ったものを勧めたが、今改めて考えてみると、ほかにも合うものもありそうである。カレーに合うワインって、いや、そもそもカレーに合うお酒ってなんなんだろう。
カレーと相性の良いワインはあるか?
アルバイトをしていた時、私はちょっと考えて、スペインのガルナッチャを薦めてみた。ミディアムボディくらいで、酸味や苦味よりもフルーティさがあったほうがいいと思ったからだ。福神漬けのようなイメージで、カレーに勝ちすぎず、負けすぎない味を考えた。
結局そのお客さんは「まあカレーに合わせるのなんて難しいよね」と言いながら、そのワインを買ってくれた。私も最適なワインを提供できたかは怪しいのでお詫びをしつつ、彼を見送った。
ちなみに正解を知りたくて調べてみたところ、「神の雫ワインサロン」のブログに行き当たった。
カレーに合うとよく言われるのがアルザス地方の「ゲヴェルツトラミネール」という甘口白ワイン。確かにこのワインは甘口ながらぴりっと胡椒のような後味があって、味のインパクトもカレーに負けてない。値段もお手頃で、二千円台でもけっこう美味しいものが見つかる。
「ノムリエ日記vol.77 カレーとワインの合わせワザ」
正直、白は思いつかなかった。しかし、やっぱり甘味があって味のインパクトがそこそこあるもの。考え方は間違っていなかったのかも……?
サイト内ではロゼや、サンジョヴェーゼ(イタリアの赤ワイン)なども紹介されていてとても参考になる。カレーに合わせるワインひとつですら、こんなに可能性があるのだ。
カレーとウイスキーの関係
先日夫が急に「ラフロイグのストレートにカレーがめちゃくちゃ合う」と話し始めた。どうやらどこかで飲みながらカレーを食べたらしく、すごく美味しかったとのこと。
なるほど、ウィスキーは確かに程よい甘さやコクもある。ラフロイグであれば、パンチのある風味がカレーのスパイスや濃厚な味わいと合うのかもしれない。
それに、バーでは〆にカレーを用意しているところも多い。最後の一杯を飲みながらカレーを食べる人もいるだろう。カレーとウイスキーも、「アリ」と言えそうだ。
最強勢力、ビールについて
ラフロイグの話を聞いてから、「ほかにももっとカレーに合うお酒があるのかも?」と思い、いろいろと調べてみた。そして、最強の勢力であるビールをすっかり忘れていたことに気づいた。
カレーに合うお酒についていろいろなWebサイトを当たってみると、「まったく合わない」か「ビール」と二極化するのが一般的な答えのようだった。
となると、カレーに合うお酒として一番市民権を得ているのがビール、ということになるのではないだろうか。特に暑い夏の時期、ビールとカレーの組み合わせは最高である。
調べていて特に面白かったのは、夏限定で活動しているらしい#金麦カレー部。カレーとビールに関するアンケート調査や、ビールに合うカレーレシピの提案をしているサイトだ。
お酒に合うようにカレーのレシピを工夫するのも楽しい。“お酒に合わせる”のもまた、ペアリングだと思う。
カレーに合う、と言い続けてきたが、よくよく考えればカレーも多様だ。日本の家庭で出てくるもの、インドやタイなどのアジアのカレー、欧風カレー……それぞれに合うお酒は違うだろう。
カレーとお酒の組み合わせ、難しいけれど、そのぶん奥深さを感じる。最強のペアリングを見つける旅は、まだまだ続くのである。
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