自分ルールの散歩は楽しい。『ニッポン線路つたい歩き』で知る、全国を歩き回る散歩法

散歩が好きだ。知らない道を歩くことに、ロマンを感じるタイプである。

『ニッポン線路つたい歩き』は、全散歩好きに薦めたい一冊。著者の久住昌之さんが線路を伝って散歩をした記録が綴られているのだが、今私は、この「線路つたい歩き」をやってみたくてたまらない。

好きな路線の線路沿いを歩き、たまたま見つけた飲食店に入り、地酒や地の料理を楽しみ、地元の人と話す。散歩の良いところがすべて詰まっているような気がして、読んでいてわくわくしたのだった。

「線路つたい歩き」とは、どういうことか

線路を伝って歩くとなると、近所の路線を歩く話かなあと勝手に思っていたのだが、本書を読むに全国津々浦々いろんなところを訪れている。

冒頭では、きっかけとなる東京・大阪間の散歩について解説されていた。まずその日に歩けるところまで歩いて、最寄駅から電車で帰る。そして次のタイミングでそこまで電車で行って散歩を続ける、というものだった。

「東京・大阪間の散歩」とは何とも不思議な言葉……普通に考えてみれば、到底歩ける距離ではない。しかし、よくよく考えてみれば、何も一度に進む必要はないのである。線路沿いを歩くのであれば、駅と電車を利用した散歩が可能になる。

ただし、毎回毎回線路を伝って歩けるとは限らない。時には行き止まりがあったり、街に入り込んだり、回り道をしなければならなかったりする。しかしこれもまた、「線路つたい歩き」の醍醐味なのだという。

線路を伝って歩くと考えれば、ふだん通りそうもない道に行くことも珍しくない。私は散歩に行くとだいたい「この道は何かありそうだぞ?」と思うところに行きがちであるが、このルールのほうがもっと愉快な出会いがあるのではないか、と期待が膨らむ。

気になる路線を目指して散歩するというアイデア

全国さまざまな沿線を歩いているので、気になる路線や散歩ルートをいくつか見つけることができた。

たとえば富山の高岡・氷見間を走る「氷見線」は、私も今年ちょうど電車に乗った。あのときはまさか「歩く」ことなど考えもしなかったが、富山湾沿いを散歩する様子がとても羨ましく、次は絶対に歩くと決めている。高岡市内のかわいいガードレール、私も見つけたい!

高知・土佐くろしお鉄道「ごめん・なはり線」は、名前がかわいくて気になる。遠方の線路伝い歩きであれば、「名前が気になる」といった安直な理由で選ぶのも楽しそうだ。

あるいは「成田線」の伝い歩きでは、伊能忠敬の話が出てきた。

「地図を読んだり路線を見たりしている本書にぴったり!」と軽い気持ちで読んだら、「忠敬が初の日本測量の旅に出たのは、五五歳の時」「直筆の筆の文字があまりに正確で細かくて美しく、感動した」(p.108)などの気になる伊能忠敬情報をゲットしてしまい、めちゃくちゃ関心が湧いている。

私も「伊能忠敬記念館」に行ってみたい!!!

個人的な散歩ルールと思い出のこと

読んでいてふと、自分の散歩はいつもどうだったっけな、と考えている。

最近ちょっとハマっているのは、Googleマップで徒歩30分圏内で行ける駅や公園などの目的地を探し、そこまで散歩するというもの。だいたいの方角だけ確認して、あとは自由に歩くのみ。

駅に設定すると、自然と「線路つたい歩き」になっていることもあって、本書を読んだ際に「あっ、私はミニ・線路つたい歩きをしているかもしれない!」などと思った。

あるいは、旅先でも確かに、散歩をしている。歩けそうであれば徒歩を選ぶことも多い。

散歩はつねに、驚きと発見が付きまとう。以前、一人旅をして歩いていたら、回送中のタクシーの運転手さんに声をかけられたことがあった。車社会の田舎ででかい荷物を抱えて歩いている女など、珍しかったのだろう。

私は楽しく散歩していたが、運転手さんは「こっから駅まで結構遠いよ! 回送中で駅の近くまで行くから良かったら乗ってきな!」と親切……ちゃっかり甘えて駅まで送ってもらったことがある。その節は、ありがとうございました!

世の散歩好きの人たちは、もっと楽しい散歩法を編み出しているのだろうか。本書を読んでから、電車も楽しい散歩法も気になって、旅に出たい気持ちが高まっている。

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