旬の食材をいかす調理法と、日本酒。浅草橋『めしと、さけanno』夏の陣



旬の食材を味わうことは、とても大切なことだと思う。そのときどきを、しっかりと地に足をつけて歩いている感じがする。

自宅で食べる旬も美味しいけれど、プロの料理人がつくってくれる旬の料理は、比べ物にならない。食材の特徴を知り尽くし、どの調理法がベストか見極め、最高の状態で提供してくれる。

7月、浅草橋『めしと、さけanno』に赴いた際には、夏の旬の食材をたくさんいただいた。どの料理も丁寧に味付けがされていて、食べるたびに感動があった。

ほっとするやさしい空間。外食と家庭料理のあいだ

『めしと、さけanno』は「外食と家庭料理のあいだ」をコンセプトに、旬の食材をじっくりと味わえる店。路地にひっそりと看板が出ていて、見つけた人だけがふらりと立ち寄れる。なんだか隠れ家みたいでわくわくする。

入口を抜けると、すぐに木のカウンターが目に入った。「こんばんは」と優しくスタッフの方が迎え入れてくれる。初めて来た店なのに、なぜかほっとする。

小上がりやテーブル席もあり、どの席も親しい人たちとゆっくり楽しめるような、広すぎないスペース。今回は二人だったのでカウンターにお邪魔したけれど、3人くらいでテーブル席で食べるのも良さそうだ。

野菜のすり流しから始まる、旬を味わうコース

料理はコースをいただいた。コースと言ってもかしこまった感じではなく、家庭では食べられない、でも親しみのわくラインナップ。価格帯も手頃である。

まずはすり流しから。冷たく、さわやかなのど越し。

乾杯は瓶ビールで。和食店の瓶ビールが好き

次に、前菜。少しずついろんな野菜を食べられるのが嬉しい。そして、一つ一つの味つけが、食べたことがあるようでない味。とても美味しくて不思議だった。定番の調味料で味付けするだけでは出ない、旨味や奥行きがある。使っている材料や調理法がとても気になる……

茄子が特に美味しかった。器も美しい

続いて、野菜の揚げ浸し。こちらもゴーヤやかぼちゃなど旬の野菜が並ぶ。「ゴーヤは種ごと召し上がってください」とのことだったので、そのままいただいた。種まで食べるのは初めてだったが、食感もよく、味にもまとまりがあって驚いた。

野菜の揚げ浸し。夏野菜がたっぷり

続いて、トウモロコシのかき揚げ。夏と言えば、なメニューでテンションが上がる。つぶつぶの食感が楽しい。塩をつけるとより甘みが増した。

カリッと揚げられていて、衣がきれい……

メインディッシュは角煮。甘辛い味がしみっしみである。お肉もやわらかく、ほろりと崩れる。日本酒との相性がとてもいい。

手間をかけてつくられていることが十二分にわかる

そして〆。冷や汁にごはん。 味噌とすだちを好みで加えながら、キュウリや茗荷と一緒にいただく。さっぱりしていて心地の良い満足感である。

胃にやさしい〆ごはん

個性豊かな日本酒を三種飲み比べ

「めしとさけ」という名前の通り、お酒も楽しめる。公式Instagramには「呑めない方、ぜひお酒好きな方とご来店ください」と記述があるほど、お酒と料理の組み合わせを推しているのである。

一杯目は瓶ビール。そして二杯目に日本酒の三種飲み比べをいただいた。おまかせで三種類の日本酒を選んでもらい、一杯ずつ飲めるというお得なメニューだ。

今回いただいたのは、すっきりと澄んだ味わいの「明鏡止水」、華やかな香りが立つ「楽器政宗」、辛口ながら旨味のきいた「日高見」。それぞれ特徴が全く異なり、個性豊かな味を楽しむことができた。

明鏡止水、楽器政宗、日高見

追加でデザートも。最後まで日本酒とともに

コースだけでも十分だが、追加でデザートも注文できる。チーズケーキが美味しそうだったので、お願いすることにした。

まだ飲み比べの日本酒が残っていたため、「このチーズケーキってお酒に合いますか?」と聞いてみたところ「合いますよ」とお墨付き。デザートとお酒の組み合わせまで考えられているようだ。

実際に食べてみると、甘すぎずチーズの味が濃厚。日本酒にもとても合う。

デザートに頼んだチーズケーキ。チーズが上からかかっているのもいい

帰る頃には、程よい満腹感だった。「お腹いっぱいで動けない」とか「飲みすぎてダメ」とかいった感情は一切なく、ちょうどよく満たされた感覚である。これって、すごい。なかなかない。自分が整ったような気持ちなのだ。

また、季節の変わり目には『anno』へ赴いて旬を味わい、自分を整えたい。

めしと、さけanno公式HP

公式Instagram



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たけの
フリーの編集者・ライター。食関連の書籍・雑誌・Webサイトで活動中。祖父母は定食屋、両親はレストランを経営。飲食店一家に生まれ、食の虜に。美味しい飲食店や料理、食文化・歴史・ニュースなどを発信しています。