世は大個人店時代である(と思う)。誰もが知るチェーン居酒屋も、ひっそり個人経営風の店舗を出している。かくいう私も、オーナーのこだわりやおもてなしの心が目に見えて感じられる個人店舗はかなり好きで、よく出向いている。
しかし、こんな大個人店時代でも、多くの人はチェーン店の利用を辞めないだろう。個人店は最高だが、チェーン店もまた、個人店にはない魅力があるからだ。改めて、チェーン店の魅力について考えてみたい。
圧倒的安心感、安定感がある
チェーン店の一番の魅力は、圧倒的な安定力である。自分の知っているメニューが必ずある。知らない土地で入ることになっても、店の雰囲気や価格帯がある程度わかる。どこでもだいたい同じクオリティのものが出てくることには強い安心感がある。
また、居酒屋にしろファミレスにしろファストフードにしろ、チェーン店のほとんどは昼間から夜遅い時間まで空いていて、定休日もない。いつでも行けるところもまた、素晴らしい。
何者にもならず、静かに食事を楽しむことができる
だいたい個人店に行くと、そのお店のスタッフの方と話をすることが多い。メニューについて質問したり、なんでもない世間話をすることもある。こだわりの料理やサービスの話を聞くのはとても面白いし、その時間を楽しみに行っている場合も、もちろんある。
しかし、単純にお腹が空いていて手早く食事を済ませたい、疲れてしまって静かに一人で食べたい、などのときは、絶対にチェーン店を選ぶ。何者にもならず、何も考えず、静かに食べていたい。そんなときはチェーン店が強い味方である。
チェーン店はいつでも、温かくも冷たくもない適温で私たちを迎え入れてくれる。適度な距離感が心地いい。
気兼ねなく作業や打ち合わせができる
チェーン店は飲食だけでなく、作業や打ち合わせをするにも最適だ。もちろん、お店の迷惑になる長時間利用は避けるべきなので、私も利用する際は空いている時間で2時間以内に留めるようにしている(そして注文はそこそこ頼むようにしている)。
でも、とにかくテーブルが広くて、電源がある場合もあって、打ち合わせであってもお互い好きなものを注文できるので気を遣いすぎなくていい。値段も手頃なので、勘定も安心である。
新型コロナ禍でもチェーン店の魅力は損なわれない
現在の新型コロナ禍で、この安定と安心ゆえに、チェーン店はかなり苦戦してしまっている印象がある。私もテイクアウトやデリバリーでは利用しているが、コロナ前のように店内で食事をすることはおろか、作業や打ち合わせもしなくなった。会社や大学などの歓送迎会が軒並み中止され、大人数や密になっての食事も難しいなんて、チェーン店のメリットをまるっきり奪われてしまったようなものだ、なんて思ってしまった。
しかし、テイクアウトやデリバリーでもチェーン店の安定感、安心感は損なわれはしないし、何と言っても複数の地域、あるいは全国に拡大するほどの強い経営戦略も持ち合わせている。ふだんお世話になっている店に対してできることが少ないのは悔しいが、どうにか各チェーン店にも、この状況を生き残ってほしいのである。
おまけ:チェーン店の魅力を学べる本まとめ
チェーン店の魅力は、私だけでなくいろんな人が実感しているゆえに、本にもいくつかまとめられている。チェーン店にまつわる本で、面白かったものをメモ。
気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている
雑誌「散歩の達人」で連載していたエッセイ。吉野家、ロイホ、ココイチ、餃子の王将……誰もが聞き慣れた、親しみあるチェーン店を訪れ、成り立ちやメニューバリエーションの変遷、著者視点から見る魅力を語り尽くしている。行き慣れた店の良さを再認識するとともに、意外な歴史や食べ方を知ることができた。
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