生活の一瞬を鮮やかな短歌に。まるで自分ごとのように読んだ『夢にみるほど日々だった』



meri-kuuのZINE『夢に見るほど日々だった』は、毎日の小さな出来事を短歌にして記録した歌集だ。誰しもの生活の中に何げなくあるモノや、家事や食事といった日常に欠かせない行為が、そのときどきの感情とともに鮮やかに切り取られ、描かれている。私はその場にいたわけではないはずなのに、まるで自分のことのように作品を読んでしまう。それくらいに言葉たちがリアルで、鮮明なのである。

生活と感情の結びつきを感じる、心に染みる短歌

感情と動作を結び付けて記憶に残っていることがある。泣いたときに聴いていた音楽、うきうきしながら作った料理……同じ動作をしたときに「あのときあれをしてたなあ」と思い出すことがある人も多いだろう。そんな日常のワンシーンが、同作にはたくさんの短歌として収録されている。

具体的にどんな作品が掲載されているのか、少しだけ引用しておきたい。

じゃらじゃらと鳴らす洗濯ばさみさえリズムになるよ 歌えベランダ

『夢にみるほど日々だった』meri-kuu アベハルカ

ぬるまった湯船に浸る まだお湯と呼べる温度に包まれて泣く

『夢にみるほど日々だった』meri-kuu ネネネ

初めてこれらの作品を目にしたとき、なぜか自分の経験を読まれているような感覚があった。日常に潜む何気ない気持ちや行動を、限られた言葉数とリズムの中に過不足なく収めている。また、誰しもの生活にあることでありながら、それらを表現する言葉は独特で、「歌えベランダ」や「まだお湯と呼べる温度」といったmeri-kuuならではの表現が素敵だ。

現代短歌はもしかすると、未だ馴染みのない人も多いのかもしれない。しかし、制限された文字数で描かれた世界は美しく、『万葉集』などが作られた時代からもっともっと進化してきている。二人の作品をきっかけに、現代短歌の世界に浸ってみるのもおすすめである。

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