料理がもたらす効能について。心が落ち着くのは何故か?



よく料理好きの人が「料理をすると心が落ち着いてくる」と表現をしているのを見かける。忙しい中でも敢えて時間のかかる料理をする人もいるし、いわゆるサウナなどでよく使われている「整う」感覚があるのではないかと察する。では、いったい料理のどこでそんな感覚が出来上がるのだろうか。

食材を切る、炒める……シンプルな作業が心に効く

トントントントンと食材を切っていると、無心になれる。もやもやといろんな考えが浮かんでは消えて、浮かんでは消えて……そのうち、心の中がシンプルになっていく。無心になれる作業というのは、確かに心を落ち着かせてくれる気がする。

料理家の宮本しばにさんは自著『台所にこの道具』にて、すりこぎを回すと心が落ち着いてくるとおっしゃっていた。

忙しがって毎日を過ごす中で、どれだけの人が台所で且緩々(しゃかんかん)とできるのでしょうか、料理は正直です。ありのままの自分が、良くも悪くもそこに現れます。
ですから私は、ワサワサと落ち着かないときに、すり鉢を使って心を鎮めます。食材の音と香りを愉しみながら、一定のリズムですりこぎを回すと心が落ち着いてきて、時間の流れが変わります。心の余裕がないときこそ、こういう時間の変換が必要です。

宮本しばに『台所にこの道具』すり鉢

且緩々=禅の言葉。「慌てず、焦らず、ゆっくりと」という意味。

ほかにも、炒めている間や煮込んでいるのを待っている間なども、ぼんやりとしていると思考がゆるやかに流れ、安らいでいく感覚がある。

段取りを考えることは、思考の整理にも役立つ

料理をするにあたって、多くの人が完成までの段取りを考えると思う。食材を切っている間にお湯を沸騰させるとか、煮物を煮込んでいる間に副菜を作るとか……段取りを考えながら進めることは、脳内がどんどん整理されていく感じがする。

これは実際、日頃の仕事や家事の段取りを組むことにも役立つ。あれをしている間にこれをやろう、というようなマルチタスクの考え方は、料理をしていると自然と身についてくる。

OldmermaidによるPixabayからの画像

料理を完成させることは自己肯定感を高めてくれる

夫と暮らすようになってから、料理をすることがすごく増えた。我が家では私が料理係だからだ。もともと料理は嫌いではなかったので、やること自体はそんなに苦でもなかったのだけれど、一人暮らしのときは、自分一人のためにつくることが本当に面倒だった。

誰かが食べてくれるなら、多めにつくってもいいし、彩りに気遣っても楽しい。だから、料理をすることが割と好きだなと感じるようになった。

そして日々料理を作っていると、いろんなことができるようになる。最初はわかりやすい定番メニューをレシピを見ながらつくっていたのに、今はオリジナルが日常茶飯事だし、メインがこれなら副菜はあれに、とか、彩りが足りないからあれを足して、などと創意工夫もできるようになった。

私は器も大好きなので、器選びもわくわくする。ここ数年は特に、友人を自宅に招いた際に、お酒に合わせた料理をつくり、好きな器に盛り付けておもてなしをするのがすっかり楽しくなってしまった。

できることが増えて、料理のバリエーションが広がること、シンプルに誰かに「おいしい」と言ってもらえることは、自己肯定感を高めることに繋がる。自己満足でもいい。自己肯定感を高めることは、人生を豊かにする上でとても大切だと思う。

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

料理は人によっては面倒くさく、できるだけ省きたいものかもしれない。私も時間がないときや気が進まないときは、面倒に感じることもある。でも、上記のような理由から、人によっては心を落ち着かせてくれる、セラピーのような効能を感じることもあるのだろう。やらず嫌いの人がいれば、ぜひ、簡単なものでいいのでやってみてほしい。もしかしたら、今抱えている悩みやもやもやした気持ちを手放すための一手になるのかもしれない。



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